株式取引に加え、FX、バイナリー・オプション、CFD(差金決済取引)など幅広いインターネット金融サービス事業を展開するGMOクリック証券。「誰もがもっと簡単に投資を始めることができる環境、もっと楽しく自由に世界中のあらゆる金融商品を取引できる環境を提供すること」をミッションに、2006年のサービス開始以来、業界トップクラスの低廉な取引手数料と顧客の投資スタイルに合わせた使い勝手の良い取引ツールを武器に急成長を遂げてきた。

 特に取引ツールに関して、同社は強いこだわりを持っている。創業以来、フロントエンドからバックエンドに至るシステムの企画・開発・保守・運用まで一貫して自社で行ってきた。取引システムこそが同社ビジネスの生命線であり、その高度な品質を常に担保し、顧客がいつでも快適かつ安全に取引を行える環境を維持することが同社開発部隊の最重要の課題となっている。

 ところが2014年の初め頃、同社の本番システムにおいて、想定していなかった不具合が見つかった。発生頻度は極めて少なかったが、株式や先物オプション、外為などの複数の口座を持つユーザーが、口座間で資金移動を行おうとすると画面にエラーが表示されるケースがあったという。

津国 貴洋 氏
GMOクリック証券株式会社
情報システム部長
津国 貴洋 氏

 調査の結果、株式取引システムで用いられているJavaのSimpleDateFormatというクラスのスレッドが競合を起こしていることが判明。至急、同社では原因となっているコードを改修し、修正版をリリースして問題の解消を図った。

 この一件によりGMOクリック証券は危機感を募らせた。「問題が発覚したプログラムは、当社が長年実践してきた開発プロセスにのっとり、十分なテストを経て本番リリースされたものでした。つまり、同様の潜在的な不具合が本番システムに存在し得るという可能性を否定できないことになります」とGMOクリック証券の津国貴洋氏は語る。

 こうした困難な問題に対し、GMOクリック証券がとったアプローチが静的解析ツールの導入だった。

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