営業支援システム(SFA)やERPなど基幹システムに蓄えられたデータと連動し、顧客情報や訪問履歴、売上などの情報を地図上に可視化することで、営業活動の効率化やより高度なエリア・マーケティングが可能となる。このような“地図+情報”の活用は今、業種を問わず重要なビジネステーマとなっているのだ。
このような地図情報サービスを導入し、自社ビジネスの活性化に活かしている企業がある。
アサヒプリテックは貴金属・レアメタルなどの再生・精錬を行うリサイクル企業。営業網は全国20拠点に広がり、300名以上の営業担当者が、宝飾、電子触媒、銀塩フィルムなどを扱う事業所や、地域の歯科技工士・歯科医などを毎日訪問し、廃棄されたスクラップ類を回収している。そのスクラップの中には金、銀、プラチナなどの貴重な貴金属、レアメタルと呼ばれる希少金属が含まれており、それらを集約・分析・精錬し、再利用できる金属資源として蘇らせるのが同社のメイン事業だ。
産業廃棄物に埋もれる資源は「都市鉱山」とも呼ばれており、同社の営業担当者はまさにその「鉱山」を探し出し、有用な資源を回収する現代のマイナー(鉱夫)ともいえる。そして、鉱山を探し出し、かつ効率的に資源を掘り出すには、何らかの武器が不可欠である。
その武器の一つが、 “地図+情報”の活用である。アサヒプリテックでは、富士通のクラウド型地図ソリューション「FUJITSU Enterprise Application GIFOCUS(ジーアイフォーカス)」(以降、GIFOCUS)を導入、ビジネスに新たな価値を生み出す武器として活用している。
「都市鉱山から貴金属やレアメタルをいかに効率的に回収するのかは、当社だけでなく資源小国の日本にとっても重要な課題。事業活動の効率化のためにはICT活用が不可欠です」と話すのは、アサヒホールディングス 取締役の重政啓太郎氏だ。
貴金属は市場価格が毎日変動する。営業活動では、貴金属を適切なタイミングで重点的に回収するなどの対応が求められる。また、こまめに多数の顧客を訪問する必要があるので、営業チームが臨機応変に動くには、現場での情報を全体で共有するスピードの向上が欠かせない。「スキマ時間を活用し、出先でもフレキシブルに動くことが営業には求められており、そのためにも地図や位置情報をいかに活用するかが鍵になっています」と重政氏は言う。
こうした営業活動への地図情報活用は、まさにGIFOCUSが得意とするところ。2015年から同製品を導入したアサヒプリテックでは、営業活動においてどのようにGIFOCUSを活用し、どのような効果が生まれたのだろうか。