基幹系システムなど守りのITを担う「第1のIT部門」と、攻めのITを担う「第2のIT部門」は、メンバーのスキルも仕事の進め方も大きく異なる。それぞれの強みを生かしながら相乗効果を引き出すにはどんな手があるのか。IHIの苦労を基に明らかにする。

 「制御系の技術者が主導して(第2のIT部門を)スモールスタートさせ、3年ずらして(第1と)統合したことは正解だった」とIHIの村野幸哉執行役員は振り返る。

 スキルや慣れ親しんだ仕事の進め方が異なるメンバー同士の連携は一筋縄ではいかない。組織を統合するタイミングの見極め、統合をスムーズに進める工夫、統合後の取り組みについて、第2のIT部門の設立からさかのぼって見ていこう。

IT分野の出身者はいなかった

 第2のIT部門である高度情報マネジメント統括本部は、各ビジネスユニットの制御システム設計者や技術開発本部の制御技術者などを集め、統合する3年前の2013年に約30人で発足した。「IT分野の出身者はほぼいなかった」(村野執行役員)。

 その後、第2のIT部門は社内公募や中途採用なども進めて人員を拡充。機械製品のIoT対応に向けた提供基盤の開発を進めてきた。だが作業が進むにつれて、第1のIT部門の力が必要になる場面が増えてきた。

 「毎年のように、2つのIT部門を統合するべきだという意見が出ていた」(同)が、村野執行役員は時機を待った。そしてIoT基盤の全社展開を加速させる2016年になり、統合のベストタイミングだと判断。2016年4月に組織を統合した。第2のIT部門のメンバーは、この時点で約50人に達していた。

IHIのIoTプラットフォーム構築の体制
IHIのIoTプラットフォーム構築の体制
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。