データ分析に定評がある大阪ガスでも、データ分析結果を現場に受け入れてもらい、意思決定や現場の業務に活用してもらえるようになるまでにはかなりの工夫が要る。単にパワーポイントで分析結果の数字やグラフだけ見せても、現場の担当者はピンと来ない。仮にその場で「すごいね」と言われても、それでおしまい。業務を変えるには至らない。

 そこで大阪ガスでは、データ分析専門組織側で簡単な端末画面やインターフェースまで作り、「こんな問題解決に使えます」と実際に動かせてみせられる「プロトタイプ作り」に力を入れる。現場へのプレゼンテーションで相手の関心を引き出し、採用を促す。プロトタイプがあれば、実際に現場で利用してみて、使い勝手や改善すべき点も見つけやすい。

 データサイエンティストは単に分析問題を「解く」だけではなく、現場に「使わせる」ところまでが自分の責任範囲だと認識すべきである。