重要なステークホルダー(利害関係者)が期待通りに動いてくれない。これもまた、プロジェクトマネジャーやリーダーの悩みの種だ。ITプロジェクトを成功させるために、ステークホルダーが動きやすい環境を用意することが求められる。

 現場の事例を紹介しよう。新日鉄住金ソリューションズの向井雅一氏(産業ソリューション事業部ソリューションシステムエンジニアリング第二部第1グループリーダー)が2015年3月から2016年6月にかけて担当した開発プロジェクトである。2015年8月に、異常事態に見舞われた。向井氏のカウンターとなるユーザー側の責任者が、基本設計の完了直前に退職してしまったのだ。

 ユーザー側の責任者がいきなり交代すれば、プロジェクトが混乱してもおかしくない。だがこのプロジェクトは、大きな混乱なく稼働にこぎ着けた。向井氏がそれまでに打っていた、ステークホルダーが動きやすい環境を整える策が効果を発揮したためだ。

「決め手チャート」でペアを作る

 向井氏の策とは、相性のよいステークホルダー同士でペアを組んでもらうこと。IT企業側の開発チーム、ユーザー企業側のIT部門、利用部門といったそれぞれのステークホルダーを巻き込むには、作業で関係する相手との相性が大きな鍵を握ると向井氏は考えた。相手との相性がよければ、そのステークホルダーにとって動きやすい環境というわけだ。「作業に必要なスキルの有無よりも、カウンターの相手との相性のほうが大事」と、向井氏は言い切る。

 相性のよいペアを組むに当たり、向井氏は「決め手チャート」と呼ぶべき図を使って各ステークホルダーのパーソナリティーを大まかに4象限に分類した。2つの軸は「合意の決め手」の軸と、「仕事の価値観」の軸である。合意の決め手は、相手の提案を受け入れる際の判断基準として「自分の納得感」と「周囲への説得力」のどちらを重視するタイプかで分ける。仕事の価値観の軸は、仕事とプライベートのどちらを重視するかだ。

次ページ以降はITpro Active会員(無料)の方のみお読みいただけます。