ITproマーケティングが主催した「BtoBセールス&マーケティングSummit Autumn 2017」で、東京商工リサーチ(TSR)事業本部 マーケティング部 部長 弓削 正範氏は、ABM(アカウントベースドマーケティング)におけるターゲットアカウント選定方法とインサイドセールスの有効性を説明した。「マーケティングと営業の連携を強化する、顧客分析に基づいたターゲティングとは」と題した講演で、顧客情報の整備、キーパーソン情報の取得こそがABM実践の鍵を握ることを強調した。
弓削氏は今回の講演で、ABMにおいて重要な「ターゲットアカウントの選定方法」と併せて、キーパーソン情報を取得するための「インサイドセールス」の有効性をTSRでの実践例を基に解説した。
弓削氏は、アカウント(企業)を見据えてマーケティング活動を展開するABMで重要となるのは「データの準備である」と説明する。その上でデータを基に狙うべき企業群をターゲティングしてアカウントを絞り込み、そのアカウントでの意思決定権者、つまりキーパーソンを探すとした。
キーパーソンが見つかったら、営業とマーケティングで役割を分担しながら攻略のための段取りを決める。弓削氏は、一連のマーケティングプロセスを「『データ駆動型』で実践していく。データが全ての活動を『後押ししていく』流れを作ることが大切だ」と強調した。
弓削氏は「優良顧客を分析するための二つの方法がある」として、「デシル分析」と、東京商工リサーチが提供している「企業プロファイリング」を説明した。
デシル分析とは、「二八の法則」や「パレートの法則」を活用する。
名寄せやマッチングで整理した既存顧客の企業群を、それぞれの企業に対する売上高が大きいものから並べて十等分する。売上高の大きい企業から数えていくと、上位数社で自社の売り上げの多くを占めていることがよくあるという。その割合を確認するのがデシル分析だ。
デシル分析とプロファイリングで優良企業をターゲティング
デシル分析をすると通常、「上位20%の企業群が自社全体の売上高の80%を占める」ことが多い。これがいわゆる「二八の法則」で、ここから「おおむね上位20%が自社にとっての優良顧客であると定義できる」(弓削氏)という。