DeNAの菅原賢太グループマネジャーは同社の米国子会社でグーグルのPaaSを全面採用した経験から、任天堂とのスマホ向けゲーム開発でもグーグルのPaaSを導入した。

図●DeNAの米国子会社が断行したシステム移行
図●DeNAの米国子会社が断行したシステム移行
ゲーム開発に全力投入できるクラウド基盤に
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 DeNAは米国での事業展開を狙い、現地法人を設立。2010年に現地会社を買収した。経営判断から2016年に解散となったものの、クラウドを効率的に使って資金不足やエンジニア不足を補ってきたという。その取り組みをけん引したのが菅原氏である。

 2012年ごろ、DeNAの米国子会社は開発スピードを重視して、ゲームアプリの開発にシステムを小さな機能(サービス)に分けて、組み合わせる設計手法「マイクロサービス」を採用した。AWSのIaaSと自社のデータセンター(DC)を使って次々と新作ゲームや追加機能を開発していた。自社DCのサーバーはもちろんIaaSもOSやミドルウエアのパッチ適用、脆弱性の確認といった基盤運用が欠かせない。ゲーム利用者の増減に合わせてサーバー数を増減させる運用も「完全に自動化するのは技術的に難しく、人手がかかっていた」(菅原氏)。ゲームタイトルが増えるにしたがってサーバーの運用を担当するインフラエンジニアやアプリを配備するエンジニアの負荷が無視できなくなっていた。

 そんなとき、「GAEで作った一部のサービスは運用の手間がかからないことに気付いた」(菅原氏)。GAEはPaaSの中でも「進化」した機能を持っている。負荷に合わせてサーバー数を増減するといった運用を完全に自動化している。OSやミドルウエアなどの管理も必要なくなる。

 菅原氏は直ちにサービス内容を調べ、IaaS上のゲームアプリをGAEに移行できると判断した。2014年にほぼ全てのゲームをGAE用に作り直し、狙い通り基盤運用作業をほとんど無くせた。

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