働き方改革の盛り上がりとともに導入が進む「RPA(Robotic Process Automation)」。人間の作業を肩代わりするロボットを開発・実行するためのRPAツールも続々と登場している。

 調査会社の富士キメラ総研が2017年9月1日に発表した「2017 サービスロボット/RPA関連市場の将来展望」によると、RPAツールの国内市場は2016年度が15億円だったが、2030年度の予測値では147億円と9.8倍に伸びるという。

選択肢が豊富になるRPAツール

 実際に日本国内で導入可能なRPAツールは増えている。RPAツール「UiPath」を開発・販売する英UiPathは2017年2月に日本法人を設立。「社員数も倍以上になり、パートナーも10社を超える」とUiPath日本法人の長谷川康一代表取締役CEOは話す。

 日立ソリューションズは2017年7月から日本企業としては初めて米Automation AnywhereのRPAツール「Automation Anywhere」の取り扱いを開始した。NTTデータは2016年にそれまで「業務自動化ツール」として開発・販売していた「WinActor」を「RPAツール」と位置付け、英語版やサーバー版の開発などRPA向けの機能を強化している。

 以下の表のように、「RPA」を打ち出した製品が続々と登場している。サーバーで動作し高度な管理機能を持ったRPAツールから、PC1台で動作するRPAツールまで、その種類は様々だ。海外製品に加えて、最近は国産の製品も増えている。

主なRPAツール
製品名(開発会社名)概要価格
Automation Anywhere(米Automation Anywhere)ロボット開発時に部品を作り、その部品をコピーして再利用できるといったロボット開発環境を提供する。サーバーでロボットを一元管理し、稼働状況などを把握できる1300万円程度(年間保守料込み、20業務を自動化した場合を想定)
Autoブラウザ名人(ユーザックシステム)「ブラウザー」の名称が付くが、Windowsアプリケーション全般を自動化できる。別売りの「Autoメール名人」と連携することで、「電子メールを送付する」といった作業も自動化できるAutoブラウザ名人 開発版(スクリプト開発者向け、実行機能含む)で買い取りライセンスの場合80万円から、別途月額保守料1万円が必要
Blue Prism(英Blue Prism)金融機関向けに開発したツールをRPAツールとして製品化した。高いスケーラビリティや高度なセキュリティ機能などを備え、大規模導入を前提としている――
Kofax Kapow(米Kofax)サーバーでロボットを動作させる場合に、複数のロボットを同時実行できる。負荷分散など高度な管理機能を提供する。2016年9月に出荷したバージョン「10」からマウス操作のキャプチャーなどが可能になる初年度1500万円程度(初期費用と年間保守料を込み)
NEC Software Robot Solution(国産製品のOEM、社名は非公開)開発環境、実行環境、管理機能が一体化しているデスクトップ型のRPAツール。国産製品のため、操作画面などが日本語である288万円から(年間、保守料込み。別途3カ月、6カ月などのライセンスも用意)
NICE Advanced Process Automation(イスラエルのNICE Systems)ロボットの実行環境としてサーバー向けとデスクトップ向けの両方を用意。ロボットの利用者が作業しやすいように、実行結果をリアルタイムに表示したり、ロボットの実行後に必要な情報を一元表示する画面を用意したりする機能があるサーバー向けが350万円から(ロボット1体のライセンス料金)、デスクトップ向けが25万4000円から(オープン価格)
Pega Robotic Automation & Intelligence(米Pegasystems)ロボットの開発・実行を支援する「ロボティック・デスクトップ自動化」「ロボティック・プロセス自動化」のほかに、デスクトップの作業時間などを解析する「ワークフォース・インテリジェンス」で構成。ムダな作業時間の解析などができる――
UiPath(英UiPath)開発環境、デスクトップとバックオフィス用の実行環境、管理ツールで構成。それぞれ個別に導入できる。他のサービスとAPI連携できる環境を用意52万円から(年間、開発ツール1台、デスクトップ向けの実行環境1台の最少構成の場合)
WinActor(NTTデータ)デスクトップ型のRPAツール。開発ツールは4種類の自動化の方法を備えている。日本語の画面、マニュアルを用意しているほか、英語版もあるフル機能版で年間90万8000円から、デスクトップの実行環境のみの場合は24万8000円(保守料込み)

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