Excelで集計したデータを基幹システムに入力する、競合製品のWebサイトを定期的に訪れ販売価格を調査する――。PCで操作するこうした作業を「ロボット」で代替する「RPA(Robotic Process Automation)」。働き方改革の切り札として注目を浴び、RPAを実現するツールも数多く登場した。ロボットの開発も比較的容易で、ベンダーに所属するITエンジニアのようなスキルは必要ないとされている。

 RPAツールは海外製や国産、大規模向けやPC1台向けなど様々な種類がある。その機能は大きく(1)開発環境、(2)実行環境、(3)管理機能の三つに分かれる。PC単体での導入を想定するRPAツールの場合、(3)の管理機能がないケースもある。

「作業の自動記録」がロボット開発の基本

 RPAツールの要とも言えるのが開発環境だ。開発環境は、PC上の操作と同様の操作を実行するロボットを開発する機能を備える。「実際にPCを操作している経理部門や人事部門の担当者などでもロボットを開発できるように、プログラミングをせずに開発できる機能を備える製品が多い」とアビームコンサルティングの安部慶喜 執行役員 戦略ビジネスユニット プリンシパルは話す。

 RPRツールで開発するロボットは、AI(人工知能)を利用するような高度なものではない。「Excelで出来ている発注書の左から2列目、上から2番目のセルのデータを抜き出し、そのデータの先頭にゼロを二つ加える。その後、ERP(統合基幹パッケージ)の発注画面を呼び出し、上から2番目のセルにデータを投入する」といった「マクロ」のようなものだ。

 ロボットの開発手順は、(1)実際の担当者の作業を記録する、(2)「条件分岐」や「繰り返し」といった1回の操作記録では登場しない処理を追加する、(3)より高度な処理をする場合、プログラムを記述する、といった方法が代表的だ。(1)と(2)はノンプログラミングで実施できるRPAツールがほとんどだ。

RPAで実行するロボットの開発手順
RPAで実行するロボットの開発手順
[画像のクリックで拡大表示]

 (1)では開発環境に「録画する」などのボタンが用意されてあり、開発環境の中からロボットを使った業務で利用するアプリケーションやWebサイトを呼び出して、動作を記録する。

 この際に操作の対象となるアプリケーションやデスクトップの環境に応じて、自動化の記録方法が異なる。Webアプリケーションなのか、クライアント/サーバー型のアプリケーションなのか、仮想デスクトップを使っているのか、などによってツールごとに複数の記録方法を持ち、それぞれ使い分ける。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。