火災への対応や高所からの落下など、現実世界では体験が難しいコンテンツを、顧客の要望に応じて作り上げるのがVRエンジニアだ。イラストを描き、顧客とイメージを共有してプロジェクトを進めたり、操作感を重視したりする、といった特徴がある。

 米Oculus VRの「Oculus Rift」や台湾HTCの「HTC Vive」など、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型の装置が続々と登場し、企業向けにも普及が進み始めたVR。そのコンテンツを作成するVRエンジニアとして活躍しているのが、NECソリューションイノベータの森口昌和氏だ。

 VRの適用範囲は幅広い。森口氏はこの半年間でも、過去の事件や事故を追体験できる危険予知向けや、工場の生産ラインを再現するレビュー向け、など様々な企業向けコンテンツを作成してきた。

 VRコンテンツと、通常のシステム開発が最も異なる点は、「3Dのモデルを利用するので、イラスト的な要素が必要になること」と森口氏は説明する。顧客との打ち合わせの際に、どのようなコンテンツを顧客が必要としているのかイラストで示すケースもしばしばある。開発手順は、プロトタイプを作成して顧客に実際にVRを体験してもらいながらコンテンツの詳細を詰めていく形になる。

 ただし企業向けの場合、通常のシステム開発と同様に予算を意識する点が重要になる。グラフィカルなコンテンツの場合、費用をかければリッチにできるが、企業内で利用する場合は、消費者向けサービスのように費用をかけて見栄えをアップするケースは少ない。

 そこでVRエンジニアとして重要になるのが、コミュニケーション能力だ。言われた内容をすべて実現するのではなく、リスクやコストを伝えながらプロジェクトを進めるスキルが求められる。

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