「基本情報技術者」はとりあえず取る。しかし実務では、あの資格のほうがやはり役立つ。日経BP社が2017年7月に実施したアンケートによって、IT資格に対するITエンジニアの率直な声が明らかになった。

 最近、ITエンジニアの資格の取得意向が高まっている。情報処理推進機構(IPA)が実施する各種の情報処理技術者試験の2017年度春期の応募者数は、セキュリティ系を除いてすべて前年同期を上回った。秋期もこの勢いが続くと、年間の応募者数は6年ぶりに50万人を超える見通しだ。IPAの山内健司IT人材育成本部情報処理技術者試験センター副センター長は、「景気が回復傾向にあるうえ、ユーザー企業でも試験の価値を評価する割合が増えてきた」と話す。

 とはいえ、ITエンジニアはあらゆるIT資格を手当たり次第に取得しようとしているわけではない。技術動向の変化などの影響を受け、従来は定番とされていたにもかかわらず存在感が薄れた資格もある。「いる資格」「いらない資格」は時代とともに変わるのだ。

 では、ITの現場で今いる資格といらない資格は何か。これを探るため、日経BP社はITproで「IT資格実態調査」を実施し、417人から回答を得た。以下で、調査結果から浮かび上がったIT資格の実態を紹介しよう。

IPAの試験が上位独占

 まずはITpro読者が保有するIT資格を見ていこう。図1は「保有している」という回答が10人以上のIT資格を、保有者数順に並べたものだ。1位は「基本情報技術者」で、全回答者の6割弱に相当する241人が保有している。

図1●保有する資格
図1●保有する資格
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 2位は、回答者の45.6%を占めた「応用情報技術者」(190人)。3位は「ネットワークスペシャリスト」および「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」が21.3%(89人)で並んだ。IPAの試験が上位を独占した格好だ。一連の結果についてIPAの山内氏は、「基本情報技術者はやや少ないと感じるものの、全体的には高く評価してもらえている」と話す。

 一方、民間資格で保有者数が多かったのは、全体で7位の「ITIL系(ITILファンデーション試験など)」の14.6%(61人)と、同10位の米オラクルの「データベース分野(ORACLE MASTER、認定MySQLなど)」の12.7%(53人)である。

 ITILは、ITサービスの選定、調達、運用管理にかかわるベストプラクティス集。クラウドや各種アウトソーシングサービスの採用がユーザー企業の間で進んでおり、資格への注目度が高まったと考えられる。オラクルのデータベース分野については、定番データベース製品ならではの強さが感じられる。

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