本コラムでは、これまで主にABM(アカウントベースドマーケティング)でのターゲティングの重要性を解説してきた。今回は、ABMを実践する際の「情報力の重要性」について説明する。ABMを実践する過程で、「情報」の把握と活用が重要な鍵を握るからだ。

 BtoBマーケティングやデジタルマーケティングに多くの企業が取り組んでいる中、CRM(顧客関係管理)ツールなどを活用し、企業の本社所在地や資本金などの基本的な情報に加え、その企業の部署や部門の情報、その部署・部門におけるキーパーソンの情報などを管理・共有できている企業もあるだろう。

 ただしABMを成功させるには、それだけでは足りない。さらに一歩踏み込んで「情報力」を高める取り組みが必要となる。

 情報力を高めるには、営業部門とマーケティング部門が組織として連携すること、そして活用しているCRMツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールなどがシステム間で連携していることが重要となる。本稿の後半では、システム連携の重要性についても触れる。

ABMの成否のカギとなる「情報力」とは

 「情報力」を高めるにあたって、具体的にどのような取り組みが必要となるのか。そのためにはまず、「自社のマーケティングにとって本当に必要な情報とは何か」を明確に定義した上で、自社が保有している情報を改めて見直すことが大切だ。

 ABMの実践に当たって確認しておくべき重要な項目の一つに、「マーケティング部門の役割」がある。これは、「ターゲットとなる企業から売り上げに結び付く営業案件を発掘すること」というのが一般的だ。この視点に基づき、CRMツールなどで管理している情報を見直すと、営業案件の発掘に結び付くはずの情報が思ったよりも少ないことに気づくだろう。

 例えば、コネクションが既に十分にあってアプローチしやすい企業なら、その企業の部署や部員の情報を取得することは比較的たやすい。こういった「取りやすい情報」が営業案件の発掘に役立つ場合もある。

 ところがABMでは、営業担当者による「売りやすそうだ・売りに行きたい」という主観や、マーケティング担当者の「この製品を売りたい」という思惑を排除したほうがよい。企業として売り上げを最大化するために狙うべきターゲット企業群をリストアップすることを優先させるのだ。

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