キリンは2016年末ごろから、Windows 7のサポート切れ対策の検討を始めた。クライアントPC約1万4000台分のWindows 7環境をWindows 10へと移行する方針を固め、準備を進めている。

キリン情報戦略部の池本聡主務
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 キリンのPC環境は、この連載で紹介してきた東急ハンズ日清食品ホールディングスイオンフジテックの事例とは大きく異なる。キリンは以前、Windows XPから7へと移行した2014年末までに、社内の全PC1万4000台を仮想化し、仮想デスクトップ(VDI)によるシンクライアント環境を導入した。

 酒類を扱うキリンの営業担当者は出先で飲酒する機会が多い。飲酒すれば、持ち出したノートPCを置き忘れて、情報漏洩につながるリスクが高まる。「飲むなら持ち出すな」というルールがあったため、ノートPCを出先に持ち出せず、使い勝手が悪かった。

 この問題を根本的に解決するために、ノートPC(シンクライアント)側にはデータを置かない仕組みの構築に踏み切った。万が一ノートPCを社外に置き忘れても、データが保存されておらず、情報漏洩を防げるというわけだ。

他社と同様にアプリの検証・改修を実施

 シンクライアント環境でも、2020年1月にWindows 7のサポートが切れる点は変わらない。データセンターに収容されているWindows 7の仮想マシンのOSをWindows 10に移行するのが基本方針だ。

 情報戦略部の池本聡主務は「日本マイクロソフト製品以外の選択肢も検討した。だが、社内で利用が定着しているMicrosoft ExcelやPowerPointのファイルの互換性を考えると、Windows 10にせざるを得ない。2020年1月までにOSやOfficeソフトを全面的に切り替えようとすると、時間的に余裕がない」と説明する。

 今後、Windows 7で動作していたアプリの検証・改修を実施する。キリンは業務アプリの8割ほどはInternet Explorer(IE)で動作するWebアプリとして構築している。WebアプリについてはWindows 10でもそのまま動作する可能性が高いという。

 残りの2割はVisual BasicやVBAで作り込んだ「需給予測」「需給計画」などのアプリ。これについては細部の動作検証が必須で、場合によっては作り直す必要があるとみている。

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