ユーザー企業でデジタルマーケティング、そしてABM(アカウントベースドマーケティング)に携わる中東孝夫氏(KDDI)と関口昭如氏(ルネサスエレクトロニクス)に、対談形式で日本のデジタルマーケティングに関わる「ユーザー企業の取り組み」を聞く連載の第2回をお届けする。
今回はKDDIが実践しているマーケティング活動にかかわるレポーティングの高速化から始まり、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)にユーザーの立場から望む機能について話が広がった。さらに、営業部門とマーケティング部門で共有する顧客データのマネジメントについて、具体的な考え方を聞いている。
先ほど(第1話)関口さんから「KDDIさんはPDCAが速い」という話がありました。、「どれぐらい速い」のでしょうか。
中東:2017年度に入ってから、私がコンタクトセンターやインサイドセールスチームの一部を見ています。その改革に取り掛かってから2~3カ月くらいです。
速さでいうと、これまでレビューが半年に1回ぐらいだったものを、週次のレポート体制に変えました。週次データの基礎となるデータは「日次で出しておくように」と話をしています。
週次ごとにターゲットを決めて、毎週そこを見直して、「数字がいっているの?いっていないの?」「何でいっていないの?何がうまくいった?」といったことを毎週やっています。
関口:すごいですね。我々は週次では話はできていないですね。ただし、リマインドメールは毎週システム送信しています。一方通行かもしれませんが。
中東:本当は日次がいいのですが。。。(笑)
それができるのは、中東さんと関口さんのところでは、規模や人数が違うからでしょうか。
中東:人数はあまり関係ないかもしれません。日次で回していかないと、週次の目標値に追い付くための修正ができません。何がだめだったのかを突っ込めなくなってしまいます。
それを報告する仕組みも変わったのでしょうか?
中東:はい。しかし仕組みはそんなに難しくありません。Excelに今日の目標値と実績値を入れてメールで報告するだけです。
項目は「コール数」「有効接続数」「MQL(マーケティングによるリード)金額」の三つで、目標値と実績値と達成率が出ます。それぞれの数字で四半期累計や週次累計、日次累計などを見ながら、どれがいっていない、どれがいっているみたいなやり取りをします。
例えばコール数が少ない理由を確認したところ、大本になるデータが整理されていないことが明らかになり、データクレンジングを先行させたという経験があります。お客様とのやり取りの後、非常に高額な受注予想額が入力されていたときは、企業の規模などからこの金額は現実的ではないため補正したこともありました。こうして毎週、評価指標の見直しをやっています。
もちろん私が担当者全員と話をするわけではなくて、マネージャーやスーパーバイザーを含めた階層構造になっています。
関口:我々も指標の意味では同じで、全体のリード数とMQL、SQL(Sales Qualified Leads)、SAL(Sales Accepted Leads)、それからオポチュニティー(営業案件)数を定義しています。
営業との組み合わせでは、SQLとSAL、オポチュニティーの数と、それぞれの案件で渡したリードがどうなったかをフォローしています。
担当者も管理者も、業務量が増えると思いますが、効率化できますか。
中東:作業量そのものは大きくは増えません。普通のコンタクトセンターやインサイドセールスであれば、数字はSFA(営業支援システム)をたたけば出てきます。いったんフォーマットを作れば、それに転記するだけなので10~15分でできてしまいます。