「まさかグーグルが2位に食い込むとは思わなかった」。富士ゼロックスソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部 クラウド統括の黒須義一氏は、社内アンケートの結果に目を見張った。

 同社は2016年初頭、横浜にある「富士ゼロックスR&Dスクエア」で“クラウドサービス説明会”を開催。大手クラウド各社を招き、約500人の開発者を前に、自社サービスをプレゼンしてもらった。参加者に対し「自分のプロジェクトで利用してみたいクラウドは何か」をアンケートで尋ねたところ、得票率40%を集めたAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)がトップ。同27%でグーグルのGCP(グーグル・クラウド・プラットフォーム)が続いた。

 これに応える形で、2016年9月にGCPの利用を開始。野村総合研究所(NRI)のデータセンター、AWSと使い分けるマルチクラウド環境を整えた(図1)。「インフラを統一する時代は終わった。開発者が使いたいクラウドをどんどん提供し、モチベーションをかき立てていきたい」。黒須氏は、マルチクラウド戦略の狙いを話す。

図1 富士ゼロックスが利用するマルチクラウド環境
AWS、GCP、プライベートクラウドを使い分け
写真:富士ゼロックス
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 パフォーマンスの高い多様な働き方を可能にするコンセプト「Smart Work Gateway」を掲げる同社は、今後、複合機と様々なクラウドをつないだ新サービスの創出を本格化する。プラットフォームとなるクラウドは、アイデア具現化や生産性向上の鍵を握る。

 クラウドの利用に当たっては、「富士ゼロックス版クラウドデザインパターン」を作成。これに沿って開発すれば、プライベートクラウドと同等のセキュリティポリシーがクラウドでも自ずと満たせる仕組みを作った。

NAT経由でAWSとGCPを接続

 現在、同社のクラウドの中核はAWSが占める。2014年3月の導入以来、現在は80のテナント(プロジェクト)が、仮想マシン「EC2」やオブジェクトストレージ「S3」、データベース「RDS」などを利用中だ。

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