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 「製造時間がいつもより3秒長い。何かあったのか」。経営トップが出張先から工場の担当者に電話で尋ねる。担当者が装置を確認したところ、通常は部品を作るのに39秒かかるところ、42秒になっている。すぐに対応し、事なきを得た。不具合に気づかずに製造を続けていたら、装置がストップしていたかもしれない──。

 自動車部品メーカーの旭鉄工では日々、こうした光景が繰り広げられる。支えているのは、同社の木村哲也代表取締役社長が主導して、ほぼ自前で作り上げたIoT(インターネット・オブ・シングズ)システムだ。製造装置に付けたセンサーで、部品の製造時間を0.1秒単位で測定し、スマートフォンやPCから生産の状況を確認できる。

 同社は2014年夏から、IoTシステムで得たデータを利用して生産効率の向上に向けたカイゼン活動を実施。その結果、計画していた製造装置を追加購入する必要が無くなり、2億円超を節約できた。木村社長は「カイゼン活動に終わりはない。まだまだ行ける」と満足する様子を見せない。

秋葉原で購入したセンサーを利用

 旭鉄工はエンジン部品「ブッシングバルブガイド」や、サスペンション部品「ロアアーム」などを製造する(図1)。ブッシングバルブガイドではシェア9割を占めるという。

図1 旭鉄工の概要
部品製造で自動車産業を支える
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 愛知県に本社を置き、トヨタ自動車などに部品を提供する。売上高158億円、従業員480人(2015年11月期)だ。

 今回開発したIoTシステムは、製造装置に取り付けたセンサーから得たデータを無線LANを通じて工場内のスティック型PCに集め、そこからクラウド上のシステムに送ってデータを加工し、PCやスマホから参照できるようにするものだ(図2)。

図2 構築したシステムの概要
手作りのIoTで工場を可視化
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