企業情報システムに欠かせないストレージ装置。企業が取り扱うデータが急増するなか、その重要性はますます高まっています。そして、高速化や大容量化、構築・運用の効率化といったニーズに応えるべく、ストレージ装置を支える技術も進化しています。この特集では、今どきのストレージ装置が備える注目技術や基礎技術を取り上げ、図解を使って解説していきます。今回は、記憶媒体としてフラッシュメモリーを搭載する「オールフラッシュストレージ」を取り上げます。


 オールフラッシュストレージはその名称が示す通り、ストレージの記憶媒体として「すべて」フラッシュメモリーを採用しているストレージの総称です。オールフラッシュストレージが市場に初めて投入されたころには、フラッシュメモリーのコストが今よりも格段に高かったため、言い方は良くないですが「色物」という目で見られていました。「速いのは分かるけど、お高いですよね」という感じです。

 ところが、ハードディスクドライブ(以下、HDD)や部分的なSSD(Solid State Drive)の利用だけでは、入出力(I/O)遅延が問題になるシステムがあります。自社のサービスで性能問題に直面していた企業がオールフラッシュストレージを採用し、その効果を明らかにしてきたことで、当初の否定的な見方は払拭されていきました。加えて、SSDの低コスト化が進むに従って、入出力性能が最優先されるシステムでは、まずオールフラッシュストレージの導入を検討するのが今や当たり前になっています。

 一般消費者向けのWebサービスなどで大量のトランザクションを処理するシステムは急速に増えており、思ったよりも早くオールフラッシュストレージが定着してきたと筆者は捉えています。

オールフラッシュ以前の3種のフラッシュ製品

 オールフラッシュストレージについて解説していく前に、少しだけ時間をさかのぼって、それ以前のフラッシュ製品を整理しておきます。というのも、ここで紹介する製品は、オールフラッシュストレージの利用が広がっても、しばらくは併用されていく技術だからです。

 オールフラッシュストレージが登場する前のフラッシュ製品は、大きくわけると、次の3種類の製品があります。

  • サーバー搭載PCIフラッシュ
  • フラッシュキャッシュ
  • フラッシュ階層

 これらは、標準的な性能で安価なHDDストレージと、超高速でコストもそれなりに高価なオールフラッシュストレージの中間に位置します。部分的にフラッシュメモリーを利用することで、それほどコストをかけずに必要な性能を得るために今でも有効な製品です。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。