企業情報システムに欠かせないストレージ装置。企業が取り扱うデータが急増するなか、その重要性はますます高まっています。そして、高速化や大容量化、構築・運用の効率化といったニーズに応えるべく、ストレージ装置を支える技術も進化しています。この特集では、今どきのストレージ装置が備える注目技術や基礎技術を取り上げ、図解を使って解説していきます。今回は、いまやストレージの記憶媒体としてハードディスクにとって変わりつつある「フラッシュメモリー」を取り上げます。


 フラッシュメモリーは不揮発性メモリーの一種で、通電していない状態でもデータを保持できます。軽くて振動に強いことから、携帯電話やデジタルカメラ、音楽再生機などの記憶媒体として使われています。2000年ごろから高容量と低価格を同時に実現できるように開発されたNAND型と呼ばれるタイプのフラッシュメモリーが急速に普及し、今ではフラッシュメモリーを使った補助記憶装置がハードディスクの代わりに採用されるようになりました。

ハードディスクドライブとフラッシュメモリー
大容量化や低価格化が進み、フラッシュメモリーが大容量ストレージの記憶媒体として利用されるようになっている。
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 フラッシュメモリーを使った補助記憶装置をSSDといいます。SSDはSolid State Driveの略で、SASなどのハードディスクドライブ(以下HDD)と同じインタフェースを備えるなど、HDDと同じように使えるドライブ装置だったことからこの名称が付けられました。

 SSDが登場した当初は、HDDに代わる記憶装置として注目を集めましたが、企業情報システムでの採用にはネガティブな意見が目立ちました。記憶媒体としてフラッシュメモリーを使用しているため、後述するNAND型フラッシュメモリー固有のデメリットばかりが取り上げられたからです。

 しかし、ストレージベンダーによるデメリットを解消する工夫や導入実績の伸びにより、現在では多くの企業がSSDを採用しています。SSDの市場規模はHDDを上回るまでに成長し、早くも成熟期に入ったと考えられます。

▼NAND型
従来のNOR型と比較して回路規模を小さくできる(高集積化可能)ので、安価に大容量化しやすい。加えて、書き込みや消去も高速。
▼SAS
Serial Attached SCSIの略。コンピュータにハードディスクなどの補助記憶装置を認識させるためのインタフェース規格の一つ。

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