SIGFOXと同じサブGHz帯を使うLoRaWANは、2015年末あたりから話題に上るようになった。
LoRaWANで規定しているのは、LoRaデバイスからLoRaゲートウエイにデータを伝える手順と、LoRaゲートウエイを通じてネットワークサーバーにデータを伝達するまでだ。原則としてLoRaデバイスは、どのLoRaゲートウエイに対しても接続できる。この仕組みを通じて、小規模なキャリア型LPWA事業者が連携するといった構成も可能になる。
ただし、LoRaWANを提供すると表明したLPWA事業者が今後、キャリア型とプライベート型のどちらを採用するかは明確ではない。LoRaWANはあくまでオープンな通信の規約だからだ。
例えば携帯電話事業者ならば、基地局の設置も含めてサービスとして提供するキャリア型のモデルでサービスを提供しそうだ。しかしそれだと自社で展開するNB-IoTとの競合が発生してしまうため、プライベート型でサービスを提供する可能性もある。
スペクトラム拡散を採用
LoRaWANではレイヤー2(L2)のプロトコルを定めて、物理層に「LoRa変調▼」を利用する。
LoRa変調はスペクトラム拡散▼技術の一つで、直接拡散方式と呼ばれるもの。より正確には「チャープ拡散」という技術を用いている。
直接拡散方式のスペクトラム拡散を使うと、ノイズの影響を低減できる。スペクトラム拡散により、元の信号を広い帯域に薄めて伸ばす。そこに仮にノイズが乗っても、信号を元に戻す操作をするときにノイズが逆に薄く広められて、影響が低減するというのが基本的な仕組みである。「元々はレーダーの技術として開発されていた。時系列の動きを見ていくことによって、利得を上げていくイメージだ」(M2Bコミュニケーションズ 代表取締役の田中 雅人氏)。M2Bコミュニケーションズとエイビットが東京都八王子市内の10カ所で水道の水量計の検針データの送信に使ったところ、「IoTデバイスが鋳物の中に入っていたが、1kmは十分使えた」(同)という。
米セムテックが開発した。自社の半導体製品で使っているほか、米マイクロチップなどの半導体ベンダーにもライセンス供与している。
信号を元々利用していた帯域よりも広い帯域に広げて通信する方式。直接拡散方式のほかに、周波数ホッピング方式もある。