プロジェクトは定常業務に比べて、格段に不確定要素が多い。マニュアル通りにやっていればうまくいく世界ではない。プロジェクトが厳しい状況に置かれたときには「気合いと根性」が必要になることもある。

 プロジェクトは人間が行うことなので、理論や計画だけで片付くものではない。困難な状況ではプロジェクトメンバーの気持ちが成否を左右する。

 「気合いと根性」は最後の手段として取っておくべきで、また使わずに済むのであればそれに越したことはない。ところが、「とにかくやるしかない」を決まり文句として、日常的にメンバーに長時間作業を強いて、メンバーの「気合いと根性」を浪費するプロジェクトマネジャー(以下、PM)がいる(図1)。

図1●ブラックPM
図1●ブラックPM
[画像のクリックで拡大表示]

 最近の言葉で表現するなら「ブラック企業」ならぬ「ブラックPM」だ。残念ながらIT業界は3K業界といわれて久しい。「きつい、厳しい、帰れない」の3Kである。この3Kの本質は慢性的な人手不足、多重下請け構造、案件の短納期化などの業界レベルの課題が大きい。だが、現場レベルの問題の一つとして、ブラックPMの存在がある。

 ブラックPMの特徴としては「前例主義でマネジメントの工夫がない」「プライドが高く、自分の失敗を認めたがらない」「プロジェクトメンバーに対する気働きがあまりない」「問題が発生すると人海戦術で乗り切ろうとする」などが挙げられる。

 プロジェクトは生き物のようなもので、刻一刻と状況は変化する。似たようなプロジェクトはあったとしても同じものはない。状況に応じて柔軟に対応することが求められる。前例を踏襲するだけでは乗り切れない。また、小さな失敗というのはプロジェクトにおいては日常茶飯事。小さいうちにリカバリーする、あるいはリスクが顕在化しないうちにつぶす。そしてメンバーの失敗はPM自身の失敗と考える。

 これが大事であり、失敗から目をそらしていると、やがて大きな失敗を招くことになる。ブラックPMはプライドが高く、失敗はメンバーの責任と考えるから「お前ら、とにかく何とかしろ」という発想で人海戦術に走る。「とにかく何とかしろ」で済むならマネジメントは不要である。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。