「クラウドファースト」というキーワードが象徴しているように、企業情報システムの基盤として、クラウドサービスが有力な選択肢となっている。企業経営の心臓部ともいえるERP(統合基幹業務)システムも例外ではない。オンプレミス(社内運用)環境からクラウドへ移行する動きや、新たにパブリッククラウドとして提供されているサービスを利用する動きが加速している。なかでも中堅・中小企業では、社内で稼働している会計システムをクラウドERPに移行する動きが目立つ。この記事では、2017年6月に実施したアンケートを基に、主に中堅・中小企業を対象として提供されているクラウドERPの動向を見ていく。

 現在、さまざまなタイプのソリューションが「ERP」の名を冠せられて提供されている。ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、そもそもは「企業の経営資源を計画する」ための仕組みやシステムを指す。「ヒト・モノ・カネ」といわれる経営資源のなかの「カネ」、すなわち会計機能を中心に、ほかの業務を支援する機能を備えたシステムがERPだと位置付けられる。ここでは、会計業務の中核である財務会計を管理する機能を備えたサービスを取り上げる(表1)。

表1●日本国内で提供されているクラウドERPサービス(2017年6月時点のアンケート結果)
*1 「―」は非公開あるいは数字の無い回答
製品/サービス名開発会社/販売会社日本国内導入実績*1対象ユーザー(業種、規模)
A.S.I.A. GP SaaS on IIJ GIOIIJグローバルソリューションズ―(22カ国、400社)海外法人、業種:全般、
規模:売上高100億以上
CAM MACSキャム50社業種:全般、
規模:売上高3億円以上
DS-mart ERP電算システム業種:全般、
規模:売上高30億円以上
EXPLANNER for SaaSNEC3万本以上(ベースとなるEXPLANNER/Aiの導入実績本数)業種:全般、
規模:問わず(30億円以上の例が多い)
FUJITSU Enterprise Application GLOVIAきらら富士通マーケティング/富士通1200社業種:民需全般、
規模:売上高10億~100億円
GLASIAOUS東洋ビジネスエンジニアリング/IIJグローバルソリューションズ―(12カ国、80社)海外法人、業種:全般、
売上高10億以上
GRANDITクラウドGRANDIT業種:全般、
規模:売上高50億円以上
HUEワークスアプリケーションズ業種:全般、
規模:売上高500億円以上または従業員数1000人以上を目安とする
Infor CloudSuite Industrial米Infor/インフォアジャパン規模:売上高50億円以上/従業員100人以上
Microsoft Dynamics 365 for Operations米Microsoft/日本マイクロソフト業種:全般、
規模:売上高100億円以上
MJSLINK NX-I for IaaSミロク情報サービス2社業種:全般、
規模:売上高数億~100億円
NetSuite米Oracle/ネットスイート400社業種:全般、規模:従業員10~1000人程度
Oracle ERP Cloud、Oracle HCM Cloud(人事・給与)、Oracle Sales Cloud(CRM/SFA)米Oracle/日本オラクル業種:全般、
規模:売上高50億円以上
PCAクラウド(会計DXクラウド、給与DXクラウドなど)ピー・シー・エー9000法人業種:全般、規模:中堅・中小企業、グループ企業、複数支店・拠点管理が必要な大企業までカバー
ProActive for SaaSSCSK50社業種:全般、
規模:売上高50億円以上
SAP Business ByDesign欧州SAP/SAP Japan約50社(全世界は約3900社、2017年5月時点)規模:従業員1500人以下の中堅・中小企業(海外拠点を含む)
SuperStream-NXスーパーストリーム累計導入社数8404社(オンプレミスを含む)業種:全般、
規模:売上高50億円以上
クラウド会計ソフト freee、クラウド給与計算ソフト freeefreee80万事業所業種:全般、
規模:従業員500人未満

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