チャットを業務の効率化に生かすポイントが、定型化した自動処理をチャット画面から起動するボットの活用だ。先進事例を紹介する。
神奈川県箱根町の北部で水道事業の運営を受託している箱根水道パートナーズがビジネスチャットを導入したのは2017年初めのこと。漏水現場などの情報を関係者で共有し、補修工事に役立てる狙いだ。同社はJFEエンジニアリングや西原環境など4社と地元の水道管工事業者が共同設立し、2014年4月に神奈川県企業庁から水道の運営業務を受託している。業務範囲は日常の設備運営から料金徴収まで幅広い。
現場からつぶやき工事場所を特定
採用したチャットサービスはAOSモバイルの「InCircle」。漏水の事故現場を関係者と共有するためのボットも同社に開発を発注し、現在はテスト運用をしている。2017年春から導入端末を増やし、本格運用に入る。
開発した「漏水対応ボット」はスマホでの利用を前提にしている。住民から漏水の報告が入ると、職員がスマホを持って事故現場に駆けつける。到着後、職員は現場を撮影して投稿する。さらにチャットアプリのメニューから漏水ボットのアイコンに触れてボットを起動すると、定型処理が始まる。処理内容は、(1)スマホの位置情報を取得し、GoogleマップのAPIを用いて現場付近の地図を画像として投稿する、(2)位置情報から水道管の管理に使っている「網管図」上での該当ブロックを割り出して投稿するという2つだ(図1)。