人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)など急速に進化する技術の取り込みが、企業にとって急務になっている。一方で、高度化するサイバー攻撃の脅威や情報基盤の老朽化、IT人材の高齢化といった課題も山積している。

 ユーザー企業のIT部門にとって、2017年は一つのターニングポイントと言える。今こそ、経営層や事業部門と連携して的確なIT戦略を立案・遂行し、ビジネスのデジタル化を推進する役割が求められている。

 本特集では、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施した最新の調査結果をまとめた「企業IT動向調査2017」(概要は末尾)を基に、2017年度のIT戦略の重要テーマを5回にわたって紹介する。第1回はIT投資の動向について解説する。

投資は活発だがピーク越え

 2014〜2017年のIT投資の増減を図1に示す。「計画」は調査実施年度の計画値で、当該年度のIT予算の実績値に近い数値と考えられる。「予測」は、次年度の予測値を示している。

図1●過去3年間のIT予算の増減
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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 2016年度計画を見ると、企業のIT投資が活発化している様子がうかがえる。回答企業の約半数(45.8%)が、2015年度計画よりも増加したと回答している。

 IT予算の増減傾向を分析するために、IT予算が「増加する」割合から「減少する」割合を引いたディフュージョン・インデックス(DI)値を見てみると、2016年度計画は21.7である。IT予算を増やす企業が、減らす企業を大幅に上回っていることが分かる。2017年度予測でもDI値は17.7と、IT予算を増やす企業が多い。

 一方で、ここ数年続いてきた増加傾向は鈍化しそうだ。リーマンショック前後からの予測値のDI値の推移を見ると、リーマンショック直後の2009年度に調査した2010年度予測で、マイナス4.0と底を打っている。以降はほぼ増加の一途をたどってきたが、2017年度予測でいったんピーク越えを迎えていることが分かる。計画値についても、同様のことが言える。

 とはいえ、IT投資意欲はいまだ高い水準にある。2017年度予測のDI値は、直近の2016年度、2015年度に続いて過去10年間で3番目に高い(図2)。また2017年度予測の増減の内訳を見ても、約半数が「不変(前年並み)」と回答している。増加し続けてきたIT予算を、そのまま高い水準で維持しようとする企業が多いと見て取れる。

図2●IT予算(次年度予測)増減の推移
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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