NTT東西は加入電話網(PSTN)が2025年頃に維持限界を迎えることを受け、IP網への移行方針を示している。PSTNマイグレの現状を整理するとともに今後の方向性を徹底検証する。

 距離に依存しないIP網の特性を生かし、通話料は距離段階(区分)なしの全国一律8.5円/3分とする──。NTT東西は4月6日、2024年初頭に始める「メタルIP電話」の提供条件を明らかにした。メタルIP電話とは、NTT東西が加入電話網(PSTN)のIP網への移行に伴って提供する電話サービスのこと。IP網への移行で利用できなくなるサービスも多い中、通話料の値下げでユーザーのメリットを改めて打ち出した格好だ。市場環境が大きく変化しない限り、基本料も現行と同額に維持する方針である。

PSTNは2025年頃に「維持限界」

 唐突に感じるかもしれないが、NTT東西は2010年11月の「PSTNのマイグレーションに関する概括的展望」でIP網に切り替える方針を公表済み。PSTNを構成する信号交換機は2003年、中継交換機や加入者交換機は2015年の時点で販売終了(EoS)を迎えた。元々用意した予備物品、ならびに需要の減少で余った物品をうまく活用したとしても間に合わなくなることを「維持限界」と呼び、現状では「2025年頃」とにらんでいる。

 NTT東西はユーザーへの影響を最小限にとどめるため、既存のメタル回線をそのまま使い、中継部分だけをIP網に切り替える方針(図1)。このため、ユーザーは宅内の工事や電話機の交換が不要。局給電も継続して利用できる。NTT東西は移行前にユーザーに広く周知したうえで、メタルIP電話の契約に自動的に切り替える。IP網への移行自体は2021年初頭から2025年初頭までを予定するが、契約の切り替えは作業の完了を待たず、2024年初頭(1月を想定)に一斉に実施する考えだ。

図1●PSTNからIP網への移行方法
既存のメタル回線をそのまま使い、中継部分だけをIP網に切り替える。宅内の工事や電話機の交換は不要。2025年初頭までに移行する予定である。
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2025年頃▲
信号交換機や中継交換機、運用システムは2025年初頭から維持限界を迎えるものがある。
局給電▲
停電時でも通話できるように局から電力を供給する仕組み。アナログ電話やISDN用の設備が備える。ひかり電話用の設備は現状、局給電できないため、ユーザー宅でUPS(無停電電源装置)や停電対策アダプター(乾電池タイプ)による対策が別途必要になる。

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