ノークリサーチは2016年10月13日、調査レポート「2016年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「BI・帳票」カテゴリのサンプルおよびダイジェストとして、国内中堅・中小市場における「BI・帳票製品/サービス」の活用実態と今後のニーズに関する分析結果を発表した。

最も重要な課題の解決策として「BI・帳票」製品/サービスが持つべき機能や特徴(複数回答可)
最も重要な課題の解決策として「BI・帳票」製品/サービスが持つべき機能や特徴(複数回答可)
(出所:ノークリサーチ)
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 ポイントは3つある。(1)中堅・中小全体の導入率は高くないが、導入社数を伸ばしつつある製品/サービスもある。(2)2013年時点での伸びと比べると、2014年~2016年は導入の勢いがやや収まりつつある。(3)Microsoft Excelの使い勝手を継承した安価かつ手軽なツールを起点とした訴求策が有効。

 「BI・帳票」製品/サービスは、会計やグループウエアなどの他の業務アプリケーションと比べて新しい分野のため、中堅・中小企業における現時点での導入率はそれほど高くない。だが、導入社数を少しずつ伸ばしつつある製品/サービスもある。

 導入済みの「BI・帳票」製品/サービスの1位はSAPジャパンの「SAP Business Objects/Edge/BI OnDemand」(18.0%)、2位はウイングアーク1stの「Dr.Sum EA/MotionBoard」(16.0%)だった。3位から5位までは同率で、日本IBMの「IBM Cognos/Express」(14.0%)、クリックテック・ジャパンの「QlikView/Sense」(14.0%)、日本マイクロソフトの「Microsoft Office製品を利用」(14.0%)だった。

 留意すべき点としてノークリサーチは、「Microsoft SQL Server(RDBのみの利用は除く)」(8.0%)と「Microsoft Office製品を利用」(14.0%)に注目している。これらがユーザー企業における主要なBI・帳票ツールの地位を既に獲得しているとなると、「BI・帳票」製品/サービスのベンダーや販社/SIerにとっては少なからぬ障壁となる可能性があるとしている。

 導入済みの最も主要な「BI・帳票」製品/サービスの導入年を尋ねたところ、2012年と比較して2013年は大幅に伸びたものの、その後は2016年にかけて徐々に減少している。具体的には、2011年(4.0%)、2012年(8.0%)、2013年(24.0%)、2014(14.0%)、2015年(12.0%)、2016年(4.0%)、となった。

 したがって、「業務アプリケーションの1分野」という切り口から見た時の中堅・中小企業における「BI・帳票」製品/サービスの導入/活用は、一時期と比べると、やや勢いが収まりつつある状況といえる。

 「BI・帳票」製品/サービスを導入済みの中堅・中小企業に対して、製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴(今後のニーズ)を尋ねたところ、1位は「Microsoft Excelを操作画面に用いて一般社員も手軽に利用できる」(26.7%)となった。Micorosft Excelからのステップアップパスを設けることの重要性が確認できる。

 「一般社員も手軽に利用できる」という部分も重要だとノークリサーチは言う。一般社員による「BI・帳票」製品/サービスの活用については、ベンダー各社も以前から取り組みを進めており、「誰でもBI」 「パーソナルBI」 「セルフサービスBI」「オペレーショナルBI」などと呼ばれている。