ビジネスの世界で「グローバル化」が叫ばれて久しい。営業や生産拠点を海外で展開するにとどまらず、組織をグローバルで統一し、仕事を進める仕組みをグループ全体で標準化・効率化する動きが目立っている。

 筆者らが所属するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)のIT部門も例外ではない。従来は日本で独自にIT戦略を進める「ローカルIT」が基本だったが、本社が2011年に「One IT」と呼ぶコンセプトを打ち出してから、状況が一変。日本のIT部門は、全世界で1500人が所属するグローバルIT組織の一員として位置付けられるようになった。

 ローカルIT組織からグローバルIT組織に変わり、IT部門の役割や個々のメンバーの働き方、考え方は激変した。海外のメンバーとのやり取りが一気に増えた、というのはその一つである。

 これまでのように、あ・うんの呼吸などは通じない。異なる文化や考え方を持つメンバー同士で、コミュニケーションをいかに円滑にしつつ、自分の意見を的確に伝えるか。グローバルITとローカルITのバランスをどのように取っていくか──。これまでにない工夫や努力を強いられるようになった。

 一方で、グローバル化はメンバーの新たなやりがいや喜びにつながっている。One ITの下で活動するようになり、自分たちが活躍できる場が日本からアジア、さらに世界に広がったからである。

 BATが重視している考え方の一つに「Bring your difference」がある。互いの違いを認めつつ、新たな価値を生み出すことを意味する。グローバルIT組織になり、個々のメンバーは「Bring your difference」を自覚できるようになった。

 この連載ではローカルITからグローバルITへの変革について、BATジャパンのIT部門の経験を基に解説していく。この文をお読みの皆様の会社や組織の多くが、ITのグローバル化に何らかの形で関わっているのではないだろうか。連載でお伝えする内容が、皆様の活動に一助になれば幸いである。連載は、BATジャパンのIT部門メンバーが分担して執筆する。

 今回は主にIT組織に焦点を当てて説明したい。BATという会社にあまりなじみのない方もいると思うので、まずはどのような会社かに触れておこう。

150カ国で4万3000人が勤務

 BATグループは、世界200カ国以上でビジネスを展開するタバコ会社である。全世界での市場シェアは第2位。日本では「ケント」「クール」「ラッキー・ストライク」などのブランドで知られている。本社は英国ロンドンにあり、150カ国の拠点で4万3000人が勤務している。BATジャパンの社員数は750人である。

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