NTTの最新計画では、固定電話のバックボーンをIP網に切り替える作業は2024年初頭に始まり1年後に完了する。ISDNや加入電話をデータ通信回線として利用している企業は、残り7年弱の間に自社システムの対応状況を把握し、対策を決めておく必要がある。代替サービス「メタルIP電話」の音声通話品質は「固定電話と同等」(NTT東日本)というが、データ通信に使うと伝送遅延が生じるなど課題も明らかになってきたからだ。

 固定電話をデータ通信に使う用途は意外に多い。POS(販売時点情報管理)やCAT(クレジットカードの読取機)、警備、銀行ATM(現金自動預け払い機)、バンキング、ビルやエレベーターの監視・管理、FAX、企業WAN(拠点間接続)など幅広く使われている。

ISDNを使うデータ通信の主要用途と代替策
(出所:NTT東日本、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]
ISDNを使うデータ通信の主要用途と代替策(続き)
[画像のクリックで拡大表示]

 中でも固定電話のIP網移行の影響が大きいと見られるのが、受発注や入出荷、支払い・請求など企業間の取引情報をやり取りするEDI(電子データ交換)のシステムだ。情報サービス産業協会(JISA)の試算によると、国内でEDIを利用している企業数は30万社から40万社に及ぶ。本社ではなく多数の工場のうちの1カ所で使うなど、システム部門が管理しきれないケースもあるという。

 「EDIが止まれば日本の経済活動は大きな影響を受ける」。

 こう話すのは、JISAが2015年12月に設立した「EDIタスクフォース」の藤野裕司座長だ。「コンビニエンスストアにいつ行っても商品が所狭しと並んでいる。自動車の生産ペースは2輪車を含めれば1日当たり約3万台もある。いずれも商品や部品をEDIで自動調達していなければ不可能なことだ」と藤野座長は説明する。EDIが日本経済に深く浸透しているという。

次ページ以降はITpro Active会員(無料)の方のみお読みいただけます。