固定電話のIP網への移行に伴い、NTTはISDNを使うデータ通信サービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」も終了する。同サービスは帯域保証型で光回線が敷設されていない地域でも使えるといった特徴を持つ。小売店のPOS(販売情報管理システム)やラジオ局の音声伝送など幅広く使われてきた。契約数は2016年3月末時点で約256万回線に及ぶ。サービス終了は企業にとってどんな影響があり、NTTはどう対応しようとしているのか。NTT東日本のビジネス開発本部第一部門ネットワークサービス担当の山内健雅担当課長(中央)、同じくネットワークサービス担当の関慎一担当課長(右)、経営企画部中期経営戦略推進室の畠山尚久主査(左)に聞いた。

INSネットのディジタル通信モードの終了時期を当初計画から2024年初頭に先延ばしした。なぜ延期できることになったのか。

山内 NTTではもともと固定電話のIP網への移行作業に5年ほどかかるのではないかと見ていた。そこで(交換機の維持が困難になる2025年初頭から逆算して)2020年度後半にサービス提供を終了する予定としていた。

 今回、終了時期を延期したのは移行作業を段階的に進めることで、全体の工程を短縮できることが見えてきたからだ。具体的には(固定電話のバックボーンネットワークである)PSTNからIP網へ切り替える作業を、2024年から2025年初頭までの1年間で実施する。

 固定電話のIP網への移行に当たっては、KDDIやソフトバンクなど他の通信事業者とIP網との相互接続も必要になる。この作業も前もって準備していくことで、顧客に直接提供しているサービスの終了を後ろ倒ししても問題ないことが分かった。

ISDNを利用中の顧客向けに補完策を用意

ISDNのデータ通信サービスは社会的なインフラとして幅広く使われている。「光回線に乗り換えて」といっても、簡単に移行は進まないのではないか。

山内 そうした声が根強いことはもちろん理解している。補完策として「メタルIP電話上のデータ通信」を用意すると2017年3月に発表した。数年間といった期間限定ではあるものの、ディジタル通信モードの終了後も、既存のISDN用の端末から通信できるようにする。

INSネット ディジタル通信モードの終了に伴う補完策
(出所:総務省、NTT東日本)
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 2024年初頭のディジタル通信モードの終了に合わせてサービスを始める計画だ。これに先駆け、2016年9月からディジタル通信モードを利用している事業者・団体向けに通信テスト環境を用意して、実際に既存の設備やアプリケーションを使えるかどうか検証してもらっている。 

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