前回はデータドリブンの視点で、BtoBマーケティングをリデザインするという話をしました。今回は見込み客への営業効率を高める話をします。
注文が獲れる優秀な営業員は、アプローチすべきリード(見込み客)のターゲットリストを作り、限られた時間の中で確度の高いリードを選択して、導入検討の進捗とタイミングを見計らって見積もりを提示するなどのアプローチをしています。
上の段落のたった3行に書いた営業員の行動には、実は三つも重要な要素が隠れています。
- アプローチすべきリードをリスト化 → ターゲットを明確化している
- 確度の高いリードを選択 → 量よりも先を見越して情報を活用している
- タイミングよく見積もりを提示する → 提案資料、見積金額をお客様のニーズに合わせる
優秀な営業員の行動パターンを、営業員全員が実践できれば理想ですが、なかなかそうはいきません。さらに企業の課題である、人手不足や製品・サービスの多様性、多品種少量化はますます加速化しています。このような環境下では、営業員を増やすのではなく営業活動全体の効率化が必要となっています。
この営業活動の効率化のために、マーケティング部門の果たす役割が重要になります。
しかし営業部門は、マーケティング部門に感謝の気持ちを抱きながらも、展示会やセミナーで得られる名刺やWebからの資料請求、問い合わせ案件からは、なかなか受注に結びつかないという事実にも直面します。「もう少し確度の高い案件を回してほしい!」という気持ちになることもしばしばです。
では、マーケティング部門のサポートで実現する、効率の良い営業活動とは、どのようなものでしょうか。
まず、営業員が効率的な活動をするためには、どのようなリードを集めるのが良いのかを考えてみましょう。
件数の多さよりも、受注確度の高いリードを狙うなら
「東京ビッグサイト」と「幕張メッセ」では、どちらの会場の展示会に出展した方が良いのか?私はこれまで、何度もこんな質問を受けたことがあります。私の経験に基づいて答えを先にいうと、「受注確度の高いリードを集めたいなら『幕張メッセ』」となります。
「東京ビッグサイト」は、都心から近く、電車で30分もあれば行ける便利な場所にあります。一方「幕張メッセ」は、電車で1時間近くかかります。
「幕張メッセ」まで行くと思うとそこまでの距離が心理的な負担なりませんか?同じ程度の規模のイベントで比較すると、都心に近い「東京ビッグサイト」の方が、筆者の感覚では名刺獲得数は多くなる傾向にあります。
展示会を企画するマーケティング部門では、名刺獲得数がKPI(重要評価指標)になることが多く、成果があったと報告しやすいため、この時点では「東京ビッグサイト」に軍配があがります。
ところが、製品やサービスの導入を真剣に考えているリード(見込み客)は、気軽に来場できる「東京ビッグサイト」よりも、来場に時間も労力がかかる「幕張メッセ」に来ている方が多いという経験をしました。