ITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit Summer in 大阪」で、i-plug Co-Founder 取締役 CMO 田中伸明氏は、MA(マーケティングオートメーション)の活用で、新規開拓のアポイント獲得数が劇的に増えた経緯を解説した。ITproマーケティング 松本敏明との「MA導入でアポ獲得が5倍! 在阪人材系ベンチャーが成果を残した業務改革の鍵とは」と題した特別講演で、同社が実現したタイミングを逃さない顧客へのアプローチ手法と、「ドリップマーケティング」のポイントを紹介した。
「新規開拓」と「サービスを理解してもらう」という二つの課題
田中氏はまず、自身がCMO(最高マーケティング責任者)を務める人材系ベンチャーi-plugについて紹介した。i-plugは2012年の創業で、「OfferBox」という「ダイレクトリクルーティング」サービスを提供している。
これは従来の新卒採用が「学生が行きたい企業にエントリーする」仕組みであるのに対し、学生が登録したデータベースを企業が検索して、ほしいと思う人材に「当社と一度、会いませんか」と「オファー」する仕組みだ。
現在、OfferBoxの利用企業は2500社で、2018年卒業の学生の登録数は7万人に達する見込み。田中氏は「学生の登録数は毎年倍々で伸びている。新規に利用企業を獲得するためにMAを活用している」という。
ITproマーケティングの松本はまず、「新しい技術の活用がビジネスの拡大にどう影響してきたのか」と話を促した。
創業初期、田中氏自身が担当していた企業開拓は「非常にアナログだった」という。「火曜日の始発で東京に行き、金曜日の終電で大阪に帰ってくる生活。東京にいる間は1日に5~7件の企業を訪問していた」(田中氏)。当時はスマートフォンを片手に、FacebookやLinkedinなどのSNSを活用して人事担当者とのコンタクトを試みたという。
企業とのアポイント獲得以外にも課題も見えてきた。「我々のサービスは『待っていても会えない』学生に対し、企業からアプローチできるようになるのがウリ。従来と真逆のサービスだったので、企業側に理解してもらうのが難しかった」(田中氏)。つまり、「企業開拓」と「サービスの本質を理解してもらうこと」の2点をどう克服するかが課題だった。