ITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit Summer in 大阪」で、元GEヘルスケア・ライフサイエンス グローバル本社 チーフデジタルマーケティングエバンジェリスト・グローバルリーダー 飯室淳史氏は、「営業のデジタル化が売り上げに貢献できる3つの大切なこと」と題した講演で、デジタル化で購買行動が一変した顧客に、企業がどう対応すべきかを解説した。デジタル化で効果を高めるには企業の「文化を変えることが重要」と語り、自身の経験を交えてその方法を説明した。

元GEヘルスケア・ライフサイエンス グローバル本社 チーフデジタルマーケティングエバンジェリスト・グローバルリーダー 飯室淳史氏
元GEヘルスケア・ライフサイエンス グローバル本社 チーフデジタルマーケティングエバンジェリスト・グローバルリーダー 飯室淳史氏
(撮影:行友重治)
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デジタルによって一変した顧客の購買行動

 営業をデジタル化すると売り上げはアップするのだろうか。こうした問い抱える企業の担当者は多いだろう。売り上げを高めるには「顧客の購買行動」を把握する必要がある。飯室氏はセミナーの冒頭、「購買行動がデジタルによって一変した」と語り出した。

 「顧客はインターネットで検索し、製品やサービスの情報を集め、競合と比較している。そして、営業担当者に連絡してきたときには、製品やサービスについて知り尽くし、完璧な見積仕様書を作り終えている」(飯室氏)。つまり営業担当者には、自社の製品やサービスの説明をする機会は与えられないという。「見積もり勝負」なのだ。

 こうした状況の変化に対し、もはやデジタルツールを導入しただけでは対応できない。その理由は、「戦略がないから」(飯室氏)。戦略もないのにデジタルツールだけを先行して導入しても活用されない。さらに飯室氏は、「戦略があったとしても、営業部門が動かないことも多い。動かすには企業の文化を変えなくてはならない」と強調した。

 なぜ、文化までを変えなくてはならないのだろうか。そのことを考えるには、「なぜデジタル化が必要なのか」、そして、「デジタル化の本質とは何か」を理解する必要がある。

 デジタル化が求められている理由について、飯室氏の回答は明確だ。「今や顧客企業のほうがデジタルツールを使いこなし、デジタルを通じてつながってくる」(飯室氏)からだ。

 つまり自分たちが望まなくても顧客のほうから製品やサービスの情報を確認しにWebサイトにやってくる。「もしWebサイトに社長の写真と会社概要、営業所しか掲載されていなかったら、お客様は『何もしない』で帰ってしまう」(飯室氏)。デジタル上で存在感がなければ顧客企業からは評価されないのだ。

デジタルの本質は皆が使ってこそ意味がある

 それではデジタル化の本質とは何か。飯室氏は、その説明のために電話の発明を例に挙げた。電話が発明されたとき「こんなものは役に立たないと言われた」という。

 何千キロ離れた人と話ができるといっても、1本の線でしかつながらなければ「糸電話と機能的には変わらない」(飯室氏)。例えば100人がメッシュ状につながるには一人に100本の回線が必要になる。

 ところが今、電話を使わない人はいない。多くの人へと普及していくのに伴って、その利用価値が高まった。「デジタルも同じ。皆が利用してこそ意味がある」(飯室氏)と述べた。

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