Office 365に限らず、企業がクラウドサービスを導入する際は、ネットワーク設計が欠かせない。これまで社内ネットワークだけで処理されていたデータ共有がインターネットに経由になったり、ビデオ会議などの機能によって新たな通信が増えたりするからだ。しかし、こういった通信の流れを考慮して十分な帯域を用意していても、Office 365では“意外な伏兵”によって通信が重くなる場合がある。

 Office 365を導入するときは、「事前に帯域とセッション数を試算して、必要に応じてインターネット回線を増強する」(ソフトバンク・テクノロジー 営業統括ソリューション企画本部ソリューション企画統括部シニアセールスの関沢 秀典氏)。オンラインストレージの「OneDrive for Business」とインスタントメッセージング/ビデオ会議の「Skype for Business」は帯域を消費しやすいので、特に注意してほしい。

 OneDriveはファイルのアップロードやダウンロード、およびPCのローカルドライブとの同期に、Skypeは動画データの配信に、それぞれ帯域を消費する。本社やデータセンターに設置したファイアウオールなどで全拠点のインターネット接続を集約したスター型のネットワークでは、ボトルネックになりやすい。

Outlookの接続状態。
Outlookの接続状態。
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Exchange Onlineがネットワークを重くする

 意外な伏兵は、メール/グループウエアの「Exchange Online」だ。クライアントに「Outlook」を利用すると、接続数が1ユーザー当たり30を超える場合がある。原因は、スケジュール管理の「予定表」にあるグループスケジュール機能だ。

 グループスケジュールはグループウエアでは一般的な機能で、通常はネットワークが重くなる原因にならない。しかしExchange Onlineでは、スケジュールを参照するユーザーの数だけ接続が発生する仕様になっている。最大で30人分の予定表を表示できるため、グループスケジュールだけで30個もの接続が生じるのだ。

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