ロボットを開発した後、現場で運用する際にも注意点がある。

 BPO事業を手掛けるGenpact Japanで、日産自動車向けの購買業務の一部にRPAを導入した経験を持つ黄衛新グローバルリレーションシップマネジメントバイスプレジデントは、「ロボットが使う“モノ”が変わったら、それに合わせて、ロボットをメンテナンスしていく必要がある」と指摘する。

2016年3月、日産自動車向けの購買業務の一部にRPAを導入したGenpactJapan の黄衛新バイスプレジデント。10人分の仕事のうち、緻密な業務分析で3人分の仕事を自動化できた
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 RPAではロボットがアクセスするウェブサイトのURLや、システムの画面操作などを細かく指定する。もしサイトのURLやシステムの画面、エクセルシートの形式といった「ロボットが扱うモノ」が変わったとき、ロボットに設定した手順も変更しないと、ロボットは誤作動を起こしてしまう。

 Genpact Japanの現場でもロボットのメンテナンスが進む。実務に当たる日本ジェンパクト・ビジネスサービスの大川真決算業務部・財産業務部部長は、「ロボットが使うメールソフトを変更することになった。画面レイアウトや操作の流れが変わるので、それまでロボットに設定してあったメールソフトの操作手順を修正し、新しい手順を設定し直した」と話す。

Genpact Japanは運用に入ってからのポイントを見極めている
2016年9月から、日立グループ向けの経理業務の一部にRPAを適用したメンバー。左から、Genpact Japanの坂本 勝彦アシスタントバイスプレジデント、実務に当たる日本ジェンパクト・ビジネスサービスの村澤博之財産業務部部長代理、小林良決算業務部主任、大川真決算業務部・財産業務部部長
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 ロボットが扱うモノの変化については、業務担当者やシステム担当者から事前に情報を得て、迅速にロボットのメンテナンスにつなげていきたい。「昨日までスムーズにロボットが処理していたのに、今日になって動かなくなった」ということが起こりかねないからだ。

 しかしそれでも業務が停滞する万が一の場合はありうる。それに備えて、業務担当者がリカバリーに動けるようにしておきたい。

 オフィスワークの生産性向上策として、RPAの導入を全社で進めているソフトバンクの松井孝之法人事業戦略本部新規事業推進統括部Watsonビジネス推進部担当部長は「ロボットを適用する業務では、いざというとき業務担当者がロボットに代わって作業ができる体制を整えている」と明かす。

 三菱UFJ信託銀行業務IT企画部の齋藤氏は、ロボットを導入した部署の業務担当者に対して、「ロボットで自動化している作業をブラックボックス化せず、把握しておいてください」と要請している。ロボットが止まってしまったときにも、業務の流れを押さえておけば、トラブルがあった作業が特定しやすく、迅速な復旧につなげられるからだ。

 RPAテクノロジーズの大石氏が勧めるロボットとの付き合い方は、ロボットを新入社員とみなすこと。「開発では手取り足取り教える感じで手順を設定していける。運用でも、ロボットが万が一、うまく処理できないときも、人間の先輩社員がフォロー。業務に支障をきたすのを回避できる」と話す。