働き方改革の一大潮流がやってきた。掛け声だけの残業削減ではもう政府も社会も従業員も納得しない。そんななか先進企業は厳しい現実から目を背けず、ITをフル活用した「見える化」で難局を乗り越え、いち早く残業削減や生産性向上に取り組み、成果を上げている。そんな先進企業の取り組みを紹介しよう。
働き方改革最前線
目次
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工場に1000個のIoT機器で働きぶりを記録、旭硝子
「見える化を機にメールの読み書きなどの作業時間を短縮し、本来業務の研究開発に充てる時間を増やしたいと思うようになった」。旭硝子化学品カンパニー開発部新規材料グループの高尾清貴氏はこう話す。高尾氏らオフィス部門の社員は現在、業務用スマートフォンで業務内容を記録している。
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適性クイズで社員の性格を共有、相互理解で働きやすい職場に
市場調査やコンサルティング業務を手掛けるMS&Consultingでは、社員だけでなく新卒の採用活動でも人材の見える化に取り組んでいる。使うITツールは、ミライセルフが開発した人工知能(AI)を使った求人・求職マッチングサービス「mitsucari」の主要機能である「適性クイズ」だ。
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「変えてみなはれ」、サントリー流働き方改革のナカミ
ナカミ改革元年――。2016年に残業時間を1割減らし、有給休暇取得率を1.3倍に高めたサントリーホールディングスは、2017年の働き方改革をこう位置付ける。
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4万7000人の健康を把握する富士フイルム、匿名化してビッグデータ解析
富士フイルムや富士ゼロックスなどを傘下に持つ富士フイルムホールディングスが取り組むのは、社員の健康の見える化だ。社員の健康関連情報を集約する統合データベースを2015年度に導入し、2016年度は連結ベースで約4万3000人が利用。最終的には約4万7000人のデータを取り込む計画だ。
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セプテーニ、機械学習で就活生の活躍予測
ネット広告のセプテーニ・ホールディングスは、Webでの性格診断と機械学習を活用し、どんな性格の学生が自社で活躍できるかのモデルを作って採否の判定に活用している。東京・大阪以外の地方にいる優秀な新卒学生を発掘して、入社直後から自社で活躍してもらうことを狙う。
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「先月の成果を天気で」、サイバーエージェントの活力生む社内アンケート
「先月のあなたの成果やパフォーマンスはいかがでしたか? 天気でお答えください」。直近3年間で売上高を約2倍、営業利益を3倍以上に高めるなど、好業績のサイバーエージェント。同社の成長を下支えするのが2種類の社内向けサイトと、適材適所の人材配置戦略だ。
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どう実現?JALのテレワークと残業削減
日本航空(JAL)は、東京・天王洲の本社に勤務する企画職を主な対象として「場所に縛られない働き方」と「残業半減」の二つの働き方改革に取り組んでいる。実現に向けて現場と人事部、経営トップの3者が連携し、複数の施策で改革を推進する。
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大和ハウス、勤怠システムに「全業務」登録して残業削減
大和ハウス工業は社員約1万5000人を対象に、勤怠のきめ細かい管理で長時間残業の削減を図っている。6年以上の取り組みで最も特徴的なのが、同社の勤怠システムにある「スケジュール登録」という項目だ。
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住友生命、夜8時にPC「強制終了」
「間もなく端末がシャットダウンしますので、データを保存してください」――。東京・築地にある住友生命保険の東京本社。毎晩7時40分になると、残業中の社員たちのPCに一斉にアラートが表示される。社員たちは三々五々帰宅の途につき、午後8時にはオフィスから人影が消えた。