政府が2017年2月、残業時間に関する上限規制案を提示した。同案は、労働基準法を改正して月45時間、かつ年360時間という上限を法律で規定するというもの。臨時的な事情に対応するために労使が特例の協定を結ぶ場合も、年間720時間(月平均60時間)を上限にする。

 原案通りに労働基準法が改正された場合、ユーザー企業のIT部門やIT企業の職場にも大きな影響が及ぶ。経営側が特段の対策を講じない場合、納期厳守を要求されがちな開発の現場などでは、「残業せずに納期死守」という難題が降りかかりかねない。

 近年は、大手を中心にIT企業各社で残業削減の取り組みが進みつつあるものの、その一方で「実態と乖離している」という声も聞こえてくる。IT企業やIT部門の「働き方」の実態と問題を、IT企業の従業員やユーザー企業のCIO(最高情報責任者)、有識者などへの取材と、アンケートによって明らかにする。