日本企業のクラウド採用率は、IaaSで16.1%、SaaS でも27.6%とまだ低い。これはガートナー ジャパンが2016年2月に実施した調査結果だ。フルクラウド化を進める企業がある一方で、「クラウド導入率は年平均1%と非常に緩やかになっている」(ガートナージャパン バイスプレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀忠明氏)。

図●日本企業のクラウド採用率
図●日本企業のクラウド採用率
インフラ分野での日本企業の採用率はまだ20%前後だ
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 この理由として、「オンプレミスの発想と変わらないITエンジニアの姿勢が導入の障壁になっている」と亦賀氏は指摘する。クラウドをまだ導入していないユーザー企業は、「セキュリティは大丈夫か、可用性には問題ないか、と『基本的事項の確認を数年間、継続している』状態だ」(同)。

 ITベンダーがクラウドの導入を阻害しているケースもある。ある企業のシステム部門のインフラ担当者は「パブリッククラウドでの提案を依頼したのに、ハウジングに近いサービスを提案された」と話す。背景には、ITベンダーが提供する自社のデータセンターサービスを優先したい実情があるようだ。

オンプレミスの代替として「大きな問題はなし」

 実際にクラウドはオンプレミスの代替として利用できるのだろうか。可用性やセキュリティの確保などが特に気になる。この点について実際のクラウドユーザーの声は「確保できる」という意見が主流だ。

 「主要なシステムの基盤にクラウドを採用して約3年経つが、現時点で大きな障害は発生していない」(ノエビアホールディングス)、「実際にクラウドに移行しても、想定していたような技術的なトラブルはない」(熊谷組)。

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