帰宅して自宅のPCから動画サイトにアクセスすると、まともに視聴できない。通信速度の測定サービスで調べたら、わずか数Mビット/秒。まるでADSL時代に逆戻りしたかのような有様だが、「IPoE方式のIPv6」を特徴に掲げるサービスを利用していないなら、改善の余地がある。

 混雑しているのは、ADSL時代からのPPPoEを使ってNTT東西の基幹ネットワーク「NGN」とインターネット接続事業者(プロバイダー)を接続するネットワーク機器だ。IPoE方式は、IPv6とIPv4の両方を扱える別ネットワークを利用する。

 PPPoEによるIPv4ネットワークに比べると、IPoEによるIPv6/IPv4ネットワークの方が空いているのが現状。「IPv6の仕様そのものが速いわけではない。ただIPv4より高速なケースが多いのは事実」。ビッグローブ ISPサービス本部の井手均部長は、「IPoE方式のIPv6による高速化」の実態をこう説明する。

IPv4インターネットとIPv6インターネットが混在。IPv6網は比較的空いているため、高速化する場合がある
IPv4インターネットとIPv6インターネットが混在。IPv6網は比較的空いているため、高速化する場合がある
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回線の増速単位に差

 PPPoEのIPv4網は、NTT東西の施設にあるネットワーク機器(NTE:網終端装置)から、インターネットにつながる回線をそれぞれ設ける。PPPoEプロトコルで通信をトンネリングし、ユーザーを認証して接続先のプロバイダーを振り分ける。回線の増速は都道府県単位で、PPPoEのセッション数に応じて1Gビット/秒程度の単位で増速できる*1。NTEによって混雑の度合いは異なるため、ユーザーがPPPoEの接続をつなぎ直すことで接続先のNTEを変え、空いているNTEにつながることを期待する手もある。

*1 ただしプロバイダーが自由に増速できる環境ではないため、総務省は2018年2月26日付でNTE増設メニューを「円滑なインターネット接続を可能とする見地から定める」ようNTT東西を行政指導している。

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