中古スマホを市場に流通させる「リユース」市場は着実に伸びている。背景にあるのがMVNO(仮想移動体通信事業者)の台頭だ。

写真1●中古スマホの買い取り・販売に力を入れるゲオ
写真1●中古スマホの買い取り・販売に力を入れるゲオ
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 レンタルビデオ大手で、店舗での中古端末の買い取り・販売も手掛けるゲオホールディングスは、2015年度上期の中古端末の買い取りや販売の台数が、前年同期比でほぼ倍増の伸びを示したという(写真1)。2015年4月に自社ブランドで参入したMVNOサービスの効果だ。

 関係者の話を総合すると、ゲオは中古端末の流通で店舗規模と流通台数ともに国内最大規模を誇る。ブックオフコーポレーション、ソフマップがこれに続く。いずれも月間流通台数は数万〜10万台規模と見られる。

 3社に続くのが独立系のアワーズ、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループのイオシス、パソコン販売系のサードウェーブ、パシフィックネット、通信系販社の日本テレホンといった企業群だ。これらの企業の月間流通台数は数千〜1万台と推計できる。

図1●中古端末の国内市場
図1●中古端末の国内市場
出所:テレコムインサイド2016年1月号pp.5-7
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 業界の努力もあり、国内の中古スマホ市場は成長を続けている。調査会社エムシーエイ(MCA)の推計によると、2014年度の中古端末の流通台数は227万台。当面は2ケタ成長が続く見通しだ。しかし新品端末の市場規模などと比べると、中古端末のリユース市場は立ち上がったばかりだ(図1)。国内では毎年約3800万台規模の新品端末が出荷されており、中古端末の規模はその10%にも満たない。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は、使われていない端末の総価値を推計している。2億台以上の端末が個人宅などに死蔵されており、その価値は実に1兆6489億円という。市場に流通する中古端末の約100倍に相当する。

第三者修理制度が始まるも、課題山積

 中古スマホ市場の潜在的な市場規模は大きい。しかし国内市場に流通する中古スマホはほんのわずかだ。なぜ中古スマホ市場は広まらないのか。

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