4つのセンサーと複数枚のプロペラで、機体を自律的に安定させることができるドローン。既存の無人ヘリなどに比べて操縦しやすいという声が多いが、実際にどう操縦するのか。産業用ドローンを想定して操縦方法を見ていこう。

 ドローンをリモートで操縦するシステムは、主に4つの機材で構成する(図1)。まずはドローン本体。次に、無線通信を使ってドローンに飛行指示を送る「プロポ」。このプロポがあれば手動で操縦できる。さらに「テレメトリー」と「グランドステーション」を組み合わせると、あらかじめ設定したルートを自動操縦させることが可能になる。

図1●ドローンをリモートで操縦するためのシステム構成
図1●ドローンをリモートで操縦するためのシステム構成
協力:エンルート
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 プロポを使った手動操縦では、パイロットは2本のスティックを上下左右に動かすことで、上昇や下降、右旋回や左旋回、前進後進、左右方向への移動などの動きを、機体に指示する。ドローンが飛行している最中に2本のスティックから手を離すと、機体が空中で静止するホバリングの状態になる。

 機体がホバリングしている状態で、右側のスティックを上方向に倒すと、機体はホバリングしていた位置から上昇し始める。スティックから手を離すと上昇が止まり、再びホバリングの状態になる。ここで左側のスティックを上方向に倒すと、今度は前方へと機体が動き始める。

 先ほど、「ドローンが飛行している最中に2本のスティックから手を離すと、機体が空中で静止するホバリングの状態になる」と説明した。実は、ホバリングの操作方法は「Alt Hold」「Loiter」「Stabilize」の3つがあって、プロポに実装するスイッチで選択するようになっている(写真1)。

写真1●ホバリングを維持する方法を切り替えるスイッチ(下側)
写真1●ホバリングを維持する方法を切り替えるスイッチ(下側)
協力:エンルート
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 上記で説明したホバリングの操作方法は、Alt Holdを選択したときのものだ。Alt Holdでは、フライトコントローラーに実装した気圧センサーを使ってホバリングする。気圧センサーで高度を検知し、パイロットがプロポから手を離したときの高度を維持する。Alt Holdの注意点は、高度は維持できるが水平方向の位置までは維持できないことだ。風が吹けば、吹いた方向に機体が流される。

 水平方向も含めて機体を空中停止させる方法が、Loiterだ。気圧センサーに加えてGPS(全地球測位システム)センサーも併用する。GPSセンサーで緯度と経度を検知できるので、風が吹いて機体が流されたとしても、ホバリングの指示を受けたときの緯度と経度を維持できる。

 Stabilizeは、センサーを全く使わない完全マニュアル操作だ。プロポから手を離せば、機体は徐々に下降する。風が吹いていれば、機体は水平方向に流される。このため、Stabilizeを選択したときはホバリング中であってもスティックから手を離せず、常に上下左右に動かして調整している必要がある。

 ある程度経験を積んだパイロットであれば、Stabilizeが最も使いやすい。プロポから手を離していないため、次の飛行姿勢にすぐ移れるからだ。操縦経験が浅いパイロットはプロポの操作に慣れていないので、墜落の心配が少ないAlt Holdを選択することが推奨されている。Loiterは、空撮や測量といった正確なデータ収集が求められる用途で選択することが多い。

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