前回、Cookieを忌避するユーザーの増加とともに、ユーザーから同意を得て直接にデータを取得する動きが顕著となっている中で、最も有効な方法の一つとして「ソーシャルログイン」機能が最近注目されていることを解説しました。

 「ソーシャルログイン」とは、ユーザーのソーシャルメディアアカウントを使って企業のWebサイトやアプリへのユーザー登録・ログインを可能とする機能のことです。ユーザーには手軽に登録・ログイン手続きを完了できるメリットがあり、企業には登録率を改善できる上にユーザーの同意の下でソーシャルメディアに登録したプロフィールデータなどを取得できるメリットがあります。

 数年前から徐々に広まりつつありますが、その一方でソーシャルメディア利用率がそれほど高くなく、ログインしたいと考える利用者を阻害する可能性などから導入をためらう企業も多いようです。今回は、メリットやリスク管理などの観点から、戦略ツールとしてのソーシャルログイン機能について考えます。

日本におけるソーシャルメディアの利用動向

 ソーシャルログイン機能の導入を検討する際によく指摘されるのは、「ソーシャルメディアの利用が特定層に偏っており、導入してもあまり利用されないのではないか」、という点です。この点について、総務省情報通信政策研究所が2016年8月に公表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、Facebook、Twitter、LINEなど11のサービスを「ソーシャルメディア」と定義した上で、以下の考え方を示しています1

  • 11のサービスのいずれか一つ以上を利用しているユーザーの割合は、全年代で76.5%。若年層の利用率が高い傾向にあるが、50代でも65.8%、60代でも33.0%に上る
  • 動画系サービスなどを除いた6サービス(LINE、Facebook、Twitter、mixi、モバゲー、GREE)のうち、全年代で最も利用率の高いサービスはLINE(60.6%)で、次いでFacebook(32.5%)である

 この調査から、国内でもLINEをはじめとするソーシャルメディアサービスは、高年齢層を含む一般のインターネットユーザーにも広く普及していると考えてよいでしょう。特にLINEとFacebook、Twitterの3サービスは、全年代での利用率が25%を超えています。これらのサービスのアカウントを利用したソーシャルログイン機能は、一般ユーザーに向けたものといえるのではないでしょうか。

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