ITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit 2017 Spring」で、ジャストシステム EPS事業部マーケティング部 部長 松木俊之氏は、BtoBにおけるマーケティングと営業の連携が継続的な成長を生むと述べた。松木氏は「二桁成長を持続させるセールス&マーケティングのあり方」と題した講演で、6年連続の二桁成長を達成したジャストシステムの取り組みを解説し、自社を例にとりながら企業変革の道筋を示した。

ジャストシステム EPS事業部マーケティング部 部長 松木俊之氏
ジャストシステム EPS事業部マーケティング部 部長 松木俊之氏
(撮影:都築雅人)
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二桁成長のけん引役はBtoB事業
キーエンスの資本参加が契機に

 ジャストシステムといえば、ワープロソフト「一太郎」のイメージが強く、多くの人は「コンシューマ向けの会社」という印象を持っているのではないだろうか。しかし現在、同社を支えているのはBtoB事業だ。松木氏は講演の冒頭に「2010年から2015年までの6年にわたり、最高益を更新し続けてきたが、その牽引役はBtoB事業だった」と語った。

 2010年には17億円だった同社の営業利益は毎年成長を続けて、2015年には50億円に達したという。ジャストシステムが手がけているBtoB事業は、SFA(営業支援システム)の「JUST.SFA」、ファイルサーバー統合管理ソリューション「GDMS」、ノンプログラミングWebデータベースソフト「UnitBase」などがある。

 急成長の契機となったのは2009年の、センサーなどの計測機器や電子顕微鏡などを開発するキーエンスによる資本参加だった。松木氏は「キーエンスは製造メーカーでありながら、売り上げ営業比率が50%を超えていた」と当時を振り返り、「キーエンスから学んだことで、ジャストシステムの改革が始まった」と述懐する。

 ジャストシステムはキーエンスの手法を学んだものの、「取り入れてうまく行ったケースもあれば、うまく行かなかったケースもあった」(松木氏)。「その違いは、商材の違いによるところが大きい」と分析する。

 「Webサイトで資料をダウンロードさせてリードを獲得する」「名刺情報を全社で一元管理し、顧客データベースを強化する」といった施策には普遍性があり、実行すれば多くの会社で効果を上げられるものだ。しかしFAXによるダイレクトメールや紙のダイレクトメールなどは、ジャストシステムでは定着しなかった。

 キーエンスの主な顧客は製造業である。従業員はパソコンの前に常にいるわけではなく、製造ラインにいることも多い。そのためメールなどの電子的な媒体ではなく、FAXや紙という物理的な媒体を送付することが結果につながりやすかったという。

 一方でジャストシステムの商材は、パソコンで使うソフトウエアやソリューションであり、顧客企業もITを駆使していることが多い。パソコンの前で仕事をする時間の多い相手には、FAXなどは効果が弱く、電子的な媒体が向いていた。

データベース構築と営業活動の数値化では
「規律、ルール、風土」の3点を重視

 さまざまな試行錯誤を経て、ジャストシステムがスタートの軸としたのは「顧客データベースの構築」と「営業活動の数値化」の二つだ。

 顧客データベースの構築では、集めた名刺情報を一元管理した。イベントなどで集めたものは、担当者が個人でしまい込むのを禁止し、データベースに登録するように決めた。

 営業活動の数値化では、SFAに登録した情報を、きちんとKPI(重要業績評価指標)として数字に落としこむことにした。松木氏は「以前もSFAを活用していたが、正確な数値化はできていなかった。担当者がだいたいの数字を出していたものの、間違っていることも多かった」と振り返り、「KPIとして数字化することで、SFAやCRM(顧客関係管理)を有効活用できる」と訴えた。

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