ITproマーケティングが2017年4月14日開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit 2017 Spring」で、Anaplanジャパン カントリーマネージャ 中田淳氏は、ABM(アカウントベースドマーケティング)に取り組む前の営業計画の重要性を説いた。「『ABM』、その前に。営業計画の立案はできていますか。」と題した講演で、営業部門とマーケティング部門のコラボレーションを促す明確なロジックを持った計画立案のための具体的なノウハウを解説した。

Anaplanジャパン カントリーマネージャ 中田淳氏
Anaplanジャパン カントリーマネージャ 中田淳氏
(撮影:都築雅人)
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ABMで目的を実現するには、
営業の意思をマーケに伝える必要がある

 「ABMのゴールを定めるには、スタートが重要だ。スタートがあいまいな状態でABMに取り組んでも、マーケティング部門は満足に動けない」――。中田氏はABMに基づく活動の開始時点の重要性から切り出した。

 社名のAnaplanとは、「アナリスティックとプランニングを合わせた造語」(中田氏)だという。同社は事業計画立案や実績管理のためのクラウド型ソリューションを企業に提供しており、世界中に660社以上の顧客を抱えている。

 日本国内では2016年2月に日本法人を立ち上げたばかりだが、2017年現在で既に60社強の顧客企業が存在する。中田氏は「Anaplanは、米国を中心に事業を展開してきた。これからは日本でも提供を広げていきたい」と意気込みを口にした。

 その中田氏がABMに関わる事業を通して認識したのは、活動の前に策定する営業計画の重要性だった。「いつ、どのアカウントに、何を売るのかという営業の意思、営業計画が、ABMの全ての起点になる」と語る。

 中田氏は「ABMはスタートからゴールに向かうための、手段の一つに過ぎない」と言い切る。ゴールは「アカウント売り上げの最大化」であり、スタートは「営業の意思」だ。そのゴール地点とスタート地点をつなぐ手段がABMというわけである。

 ABMを検討する上で、中心に据えるのは顧客であるアカウントだ。企業の中でアカウント情報を扱うオーナー的な役割を果たす営業部門の意思があいまいなままでは効果は望めない。「明確な方針を定められず、マーケティング部門が効果的に動けなくなる」(中田氏)。

 ABMの「M」はマーケティングだが、「マーケティング部門が営業の意思を理解しないまま、先回りしてABMを実行したとしても、結局はフォローされないリードが山積みになるだけで、その先に待っているのは破たんだ」と中田氏は指摘する。

 中田氏は、「外資系企業ではABMという言葉が登場する前から、ABMの考え方に基づいた取り組みを日常的に実行している」という。営業部門は、自分は何をどれだけ扱ってどれだけの売り上げを目標としているかを周囲に理解させて、マーケティング部門やインサイドセールス部門の支援を受けながら、営業活動を展開してきた。

 これまで外資系企業で経験を重ねてきた中田氏は、「ABMを実行するには、営業の意思が全ての基本となる」という。営業部門が「今日はこのクライアントに行ってみようと考えているだけではいけない。営業部門とマーケティング部門のコラボレーションができるようになるには、明確なロジックを持った計画を立てなくてはいけない」と営業計画立案の重要性を訴えた。

時間をかけた営業計画ができたころ
ビジネスの状況は変わっている

 企業は、営業計画をどのように決めているだろうか。中田氏は、「トップダウンとしてノルマが設定される」のが始まりと考えている。その次の段階で、ノルマを達成するために、「どのアカウントに、いつ、何を、いくらで売るか」というプランが作られる。こちらは現場から経営へのボトムアップの動きになる。

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