ITproマーケティングが2017年4月14日に開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit 2017 Spring」で、シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎氏は、マーケティングオートメーション(MA)を活用したデマンドジェネレーションの「進化形」がABMであると強調した。「究極のBtoBマーケティング“アカウントベースドマーケティング(ABM)”」と題した特別講演で、ABMにおけるデマンドセンターとデータマネジメントの意義と重要性を説明した。
今後3年以内に中堅規模以上のほぼ全ての企業が
「デマンドセンター」を持つことになる
講演の冒頭、庭山氏は「かつては『マーケティングとはリサーチである』と言われた時代があった。その後、『ブランディング』が注目され、今、第3のマーケティングとして『デマンドセンター』の波が来ている」と切り出した。デマンドセンターとは、商談の機会を作り、それらを営業部門に安定供給する部門や組織のこと。デマンドを創出することを「デマンドジェネレーション」という。
庭山氏はデマンドジェネレーションについて、「見込み客データの整理・整頓」、「ナーチャリング」、有望な見込み客を絞り込む「リードクオリフィケーション」の三つを一体化したものと定義した。「日本でもデマンドセンターを持つ企業や組織が増えてきた。今後3年以内に中堅規模以上のほぼ全てのBtoB企業がデマンドセンターを持つことになるだろう」と見解を示した。
ただし、企業や組織がデマンドセンターを持ち、デマンドジェネレーションに取り組むには、乗り越えるべき課題があるという。端的な例が「営業部門とマーケティング部門の溝」だ。
庭山氏は、2年前に米国のカンファレンスで公表されたデータを基に「マーケティング部門が作るリードの50%は営業に『無視』されている。いわば『ゴミ箱行き』。日本では、それが7~8割になっているだろう」と指摘。「営業部門とマーケティング部門に深くて広い溝がある。この状況を改善しようというのがマーケティングにおける世界的な潮流で、それを実現するのがABM(アカウントベースドマーケティング)という考え方だ」と述べた。
営業部門がアプローチしたい
企業・部署・役職に基づいたマーケティング
それでは、ABMとは具体的にはどういった考え方なのか。庭山氏は、2013年にサンフランシスコで開催されたマーケティングのカンファレンスに参加したときのことに触れ、ABMを説明した。
そのカンファレンスで講演者が示したデータでは、マーケティング部門が営業部門に渡すリード「MQL(Marketing Qualified Lead)」が「SAL(Sales Accepted Lead)」になった割合、つまり営業部門が「いい案件だからフォローする」と受け入れてくれた割合が93%にも達していたという。
さらに、SALからセールスオートメーションのパイプラインに入った割合は65%で、1年以内の受注決定率が41%にも達していた。そして「この高い数値をどうやって実現したのかを質問したところ、その答えがまさに『ABM』だった」(庭山氏)と振り返った。