Q. ツメが折れたLANケーブルを使うと火を噴く?
A. 接触不良によるトラブルの恐れがあるうえ、PoEを使っているときはスパーク(火花)が発生することがあるので要注意
LANケーブルのプラグは、コネクターの端子とプラグの端子がバネ状に接するようになっている。プラグのツメは単なる抜け防止なので、機器が動いたり、引っ張る方向に力がかかったりしなければツメが折れていても使用できる。
ただし基幹配線などで使っているケーブルでは、偶然でも抜けてしまうような事態が発生すれば、影響の範囲が大きい。アクシオの別府氏は、「ツメが折れたケーブルでも構造上は問題ないが、基幹に近い部分では即座に交換し、壁内などではこういった事態を想定して予備の配線もしておくとよい」と説明する。
PoEの使用時には注意が必要
「PoE▼を使っているときは、ツメが折れたケーブルの継続使用には注意が必要」というのは、日本製線の浅香氏だ。PoEは、LANケーブルを通じて、接続した機器に電力を供給する仕組み。通常のPoEでは最大15.4W、拡張したPoE Plusでは最大30Wを供給できる。
プラグの端子は、コネクターの端子と常に触れる箇所(通常時の接点)と、端子同士が接近してスパーク(火花)が発生しやすい箇所が離れるように設計されている。スパークが発生すると、まれに端子上に「クレーター」と呼ばれる焦げ跡が付く▼からだ(図)。特に、PoEを使っていると電力が大きいため、クレーターが発生しやすい。
クレーターのある場所とない場所では抵抗値が異なるため、高周波数の信号をやり取りするときは、ノイズが乗りやすくなる。ツメが折れたケーブルでは、プラグとコネクターの位置が固定されにくいため、クレーター部分が接点になりやすい。PoEの使用時には、ツメの折れたケーブルを使わないほうがよい。
▼PoE
Power of Ethernetの略。
Power of Ethernetの略。
▼焦げ跡が付く
写真のクレーターは、見やすくするための特殊な条件下でできたもの。実際のLAN環境では、もう少し軽微なものになる。
写真のクレーターは、見やすくするための特殊な条件下でできたもの。実際のLAN環境では、もう少し軽微なものになる。