人間対囲碁の戦いで人工知能(AI)が勝利したのをはじめ、AI技術が様々な分野で話題となっています。ビジネスや暮らしの中で、身近なものになりつつあります。ショップの受付ロボット、音声認識するスマートフォン、Web検索エンジン、さらには天気予報など、実はすでに読者の皆様は日々の生活の中で知らず知らずの間に、AI技術を利用しています。

 近年、情報セキュリティ分野でも、AI技術が様々な製品・ソリューションに実装され始めています。実際のところ、AI技術はどのようにセキュリティ分野で利用されているのか。AIが得意なこと、苦手なこと。それらを踏まえて、企業のセキュリティにおいてどのように活用すべきなのか解説します。

 AI技術は、様々な分野で目に見える形、見えない形の両面で活用が始まっています。「人工知能(AI)」という言葉自体は、新しいものではありません。1950年代にはすでに言葉としては認知されており、それ以降、進化を続けながら徐々に利用が進んできました。コンピュータの処理能力向上、ビッグデータの存在などが後押しし、広く活用できるステージに入ってきたのが今、と考えています。

 とはいえ、AIはまだまだ発展の余地が大きな技術です。一般的にAIは、3つの段階で語られます。

AIの3段階
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 この3段階で考えたとき、AIは今どの位置にいるのでしょうか。今は入り口ともいえる「Artificial Narrow Intelligence(ANI)」の段階です。ANIとは、「人間が行うことの一部を肩代わり」できるレベルを意味します。これは、どの分野にも共通して言えることです。

 「人工知能(AI)」という言葉が生まれてから今の段階まで、50年以上かかっていることになります。そもそも、コンピュータと人間の頭脳には大きなギャップがあます。ビッグデータやディープラーニングなど、様々なブレイクスルーを経て、現状に至ったわけです。この瞬間も進歩は続いており、時間はかかるにせよ、いずれ「AGI(Artificial General Intelligence)」や「ASI(Artificial Super Intelligence)」と呼ばれる、さらに高いレベルに到達していくものと考えられます。

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