自分たちITエンジニアが得する働き方改革の最初のポイントは、チームが主体性を発揮できるポジティブな仕事を増やすこと。主体性を発揮できる仕事がチームで増えてきたら、今度は個人の活動も振り返ろう。ポジティブな仕事を増やす上で、個人が工夫できる余地は大きい。個人で幅広いスキル、深い知識を身に付ければ、それだけ取り組める仕事の幅も広がるからだ。
取り入れたい工夫の1つは、就業時間後に開かれている社外の交流会や勉強会に参加すること。ご存じの通り、ライトニングトークの大会や、多数のITエンジニアが集まって黙々と作業する「もくもく会」などが盛り上がっている。
勉強会にスマホで参加
中でも筆者が注目する勉強会が、ボイスチャットツール「Discord」上で展開する「インフラ勉強会」である。その名の通り、インフラ担当のITエンジニアが集まる。2017年冬に数人のITエンジニアがTwitterで発起すると、瞬く間にリツイートが広がったという。
2018年2月7日時点で、771人がDiscord上に集う。発起人の1人で、ITエンジニアの佐々木 康介氏は「インフラ関連のスキルの基本が分からない人に向けて、ノウハウを持ち寄る場所にしたかった」と語る。同じく発起人のITエンジニアの平田 豊氏は「利害関係に縛られずにITエンジニア同士が交流する場所として会を発足した」と話す。
このインフラ勉強会では、ITエンジニアが毎日様々なテーマの勉強会を開催している。例えば「Active DirectoryとDNSサーバーを構築してみよう」「コンテナー仮想化技術のDockerを触ってみよう」などだ。いずれもテーマの技術を現場で利用するITエンジニアが講師を務めるだけあって、実践的な内容である。
内容以上に特徴的なのが、多様な背景を持つITエンジニアが集まっていること。例えば、育児休業中のITエンジニアが何人も参加している。夜、キッチンで食事の片付けをするときに、スマートフォンを手元に置いておく。家事をしながら、インフラ勉強会のやり取りを耳で聞いているという。自宅にいながら、ITの最新動向をキャッチアップしているのだ。
リアルタイムで参加できないときも活用できる。勉強会のチャットの内容が保存されており、それを後で参照できるからだ。ボイスチャットツール上で展開する勉強会ならではといえる。
場所や時間の制約で、リアルの勉強会に参加できないITエンジニアは少なからずいるだろう。スマートフォンアプリを起動すれば参加できる勉強会は、貴重な学習機会と情報発信の場といえる。忙しいITエンジニアこそ、こうしたツールの勉強会に注目してほしい。
副作用の心配は無用
ここまで、チームとして個人としてポジティブな仕事を増やそうと提案してきた。これに対し、「良いことばかりではないはずだ」と感じたITエンジニアがいるかもしれない。
確かに、ポジティブな仕事を増やすことで副作用が起こる可能性はある。以下の3つが考えられる。(1)好きな仕事に熱中しすぎて労働時間が増える、(2)情報発信に夢中になるあまり、本来の仕事がおろそかになる、(3)苦手な仕事を「食わず嫌い」するあまり、キャリアの選択肢を狭める、である。