前回は少々急ぎ足ではあったが、文化を変える5つの柱のうち「変革を邪魔するものの乗り越え方」について書いた。変革を邪魔するものは何かを確認し、変化が好きな社員を見つけて、ゴール達成を阻む問題点を社員と共有するといったことを伝えてきた。
今回はその2回目である。
1. 変革を邪魔するものは何か?
2. 自らを破壊するリーダーシップ←今回はコレ
3. 共感するコミュニケーション
4. 失敗から学び成長を加速する
5. 顧客目線をインストールする
自らを破壊するチカラとは
自らを破壊するチカラ、とは物騒に見えるかもしれないが、これは変革を進めるにあたって最も核となるリーダーシップでもある。
これまで市場でのシェアが高い製品やサービスを持つ優良企業が、最も高い価格で市場を支配し我が世の春を謳歌しているところへ、ある日突然やってきた新規参入者がイノベーションによって市場を破壊し尽くしていく――。クレイトン・クリステンセン氏が提唱した「イノベーションのジレンマ」と「破壊的イノベーション」といった言葉はよく知られている。
これを読んだ経営者の皆さんも、あっという間に市場の主役が交代し、消え去っていった姿をたくさん見てきたことだろう。モノづくりでよく引き合いに出されるのは、ソニーの「ウォークマン」だったり、「ガラパゴス携帯電話(ガラケー)」と呼ばれた日本独自の進化を遂げた携帯電話であったりする。サービスで引き合いに出されるものには、民泊サービスという言葉を世に知らしめた「Airbnb」であり、タクシー配車サービスの「Uber」などがある。
クリステンセン氏は、「イノベーションを連発した企業は、歴史上ソニーしかない」と指摘していた。かかわらず、なぜソニーは米アップルの「iPod」のような製品を作れなかったのだろうか?