クラウドサービスの普及でパスワードの重要性が増している。パスワードを破られれば深刻な情報流出につながる。だが「20文字以上」「30日ごとに変更」のような厳しいルールを一律に課すと業務効率が落ちる。この特集では、クラウド時代の新しいパスワードとの付き合い方を探る。

 「起業して以来、あらゆる業務をクラウド化する方針を徹底してきた。セキュリティ認証を取得するために、パスワード管理を見直す必要があった」。

写真1●事業活動でクラウドサービスを駆使するTANRENの佐藤勝彦代表取締役社長
写真1●事業活動でクラウドサービスを駆使するTANRENの佐藤勝彦代表取締役社長
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 クラウド型動画共有システムを通じて営業教育支援サービスを提供するTANREN(タンレン、東京・千代田)の佐藤勝彦代表取締役社長(写真1)はこう話す。

 同社は2016年秋から、カナダAgileBitsの「1Password(ワンパスワード)」というパスワード管理ツールを導入。業務で使う100個超のサービスのパスワードを1Passwordで一元管理している。

 TANRENは、営業・接客研修を手掛けていた佐藤氏が、対面研修と同様のことをネット動画でできるようにするというアイデアを元に2014年に起業した。店頭での接客練習(ロールプレイング)の様子をスマートフォンのカメラなどで撮影。この動画をTANRENのサービス上で共有し、さらなる練習の材料とする仕組みを提供する。携帯電話ショップや飲食店などの運営企業が主要顧客だ。

クラウド・ペーパレス経営を徹底

 経営面では、クラウド化とペーパーレス化を徹底。起業以来の紙文書はキャビネット一つに収まる。契約書や顧客情報などの情報資産の大半はクラウド上にある。

写真2●会計・労務管理サービス「ツバイソ」にログインする時も、パスワード管理ツール「1Password」を使う
写真2●会計・労務管理サービス「ツバイソ」にログインする時も、パスワード管理ツール「1Password」を使う
(出所:TANREN)
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 システム基盤として「Microsoft Azure」「kintone」を使う。グーグルの法人向けサービス「G Suite(旧称Google Apps for Work)」やビジネスチャットツール「ChatWork」、名刺管理ツール「Sansan」なども使う。

 会計・労務管理クラウドサービス「ツバイソ」や、電子契約ツール「クラウドサイン」、銀行のネットバンキングなども駆使し、事務作業のほとんどをネット上で完結させる。これらのパスワードを全て1Passwordで一元管理している(写真2)。

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