自社製品やサービスへの顧客の満足度を測るため、アンケート形式で調査を実施する──。 AIの活用によって、長年行ってきた「顧客満足度調査」を不要にする仕組みを構築したのが、ドイツの通信会社、ドイツテレコムだ。

 同社は様々な顧客データのなかから、顧客満足度を上下させる「イベント」を抽出。顧客ごとに、そのイベントによる影響を足し合わせることで、顧客満足度指数を導き出すモデルを開発した。

ドイツテレコムは顧客の行動や直面している出来事を基に顧客満足度指数を算出
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 例えば「オプションサービスを追加した」「インターネット接続サービスをこれまで以上に使うようになった」というイベントがあれば、顧客満足度は上昇していると判断。逆に、「コールセンターの電話がなかなかつながらない」「スマートフォンの通話が途切れることが増えた」といったイベントは顧客満足度の下降を促すとみなす。そういった顧客の行動や直面した出来事をつぶさに捉えてモデル化することで、アンケートを実施しなくても、顧客満足度指数を導き出せるようにしたのだ。

 顧客満足度を下げる出来事があっても、時間が経過すれば悪い印象は薄らいでいく。それを踏まえて、過去の悪い印象を与える出来事については、顧客満足度の下振れを抑えるようにしている。さらに、異なるイベントの組み合わせによる影響などをモデルに反映できるよう、XGBoostと呼ぶ機械学習の手法を採用。より実態に合った顧客満足度指数を出せるようにしている。

ドイツテレコムの講演の様子。携帯電話子会社であるTモバイルの加入者を含めて指数を計算。計算するためのモデルの一部には、機械学習も適用して精度を上げている
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 モデル開発を統括したドイツテレコムのトマーシュ・ブラウンサイズシニアエキスパートは「顧客と当社の接点全てで得られるデータを駆使して、顧客一人ひとりの満足度をトラッキングしたい。そう考えてモデルを開発した」と説明する。

 既に顧客満足度の低い顧客を見つけ出してキャンペーンを打つといった活用例が生まれている。「新サービスや製品が、顧客の心を捉えることができたかどうかの検証にも使いたい」とブラウンサイズ氏は見通しを語る。

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