カメラを使って現場で働く人の動きを捉え、ムダを見える化する─。日本の製造業では古くから利用されてきたカイゼン手法だが、いまなお健在だ。現場の様子を撮影し、再生映像を見ながら作業時間や作業手順を洗い出していく。有用ではあるが、膨大な時間と手間がかかることを覚悟しなくてはいけない。

 だが、いまや画像解析技術が急速に進歩し、手作業をITで置き換えられるようになった。作業時間はもちろん、作業手順まで自動でデータ化できる。

 さらに、カメラ自体も進化した。単に映像を撮影するだけではなく、人の関節の位置などまで見通す機能を備える端末となった。

 進化するカメラとITシステムが実現する最新の動線分析とはいかなるものか。1つの生産ラインに合計34台ものカメラを設置し、人やモノの動きを捉えている化学メーカーのダイセルの取り組みをみていこう。

 ダイセルの播磨工場で生産する自動車用のエアバックを膨らませる装置「インフレーター」の現場には、天井や設備などいたるところに様々な外観のカメラが設置されている。ダイセルがこれらカメラを導入した狙いは、生産品質や効率などを左右する「3M(人、設備、材料)」の連続的な動きを分析するためだ。

自動車用エアバッグを膨らませるガス発生装置「インフレーター」。ガス発生剤などが充填されていて、衝撃を検知すると着火してガスを発生させる
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 合計34台のカメラは、撮影対象や用途に応じて「行動カメラ」「全方位カメラ」「パンカメラ」「設備カメラ」の4種類に分類される。このうち、人の動きを分析するために設置したのが、行動カメラと全方位カメラの2つで、主に作業員の姿勢と移動を分析している。

 行動カメラは、今回ダイセルが設置した4種類のカメラのなかでも最も特殊なカメラだ。日本マイクロソフトの「Kinect」で、人間の関節位置まで撮影できる。行動カメラの本体には、一般的なカメラと同じ映像センサーとは別に、赤外線を受発信するセンサーが組み込んである。この赤外線センサーを使って人間の関節位置を特定する仕組みだ。

行動カメラを使って作業員の動きを分析する仕組み
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